瀬川千秋 著
四六判・268頁 定価=本体1,800円+税
リングの上ではコオロギが、
リングの下では一攫千金を夢見る男たちが闘う!
本邦初、闘うコオロギの解説本。


※瀬川千秋氏は、本書その他の功績により、2003年のサントリー学芸賞(社会・風俗部門)を受賞しました!

「闘蟋」―それはコオロギを闘わせ、ひと秋をかけて虫王(チャンピオン)を決める遊び。飼い主たちは戦士の育成に金と時間と知識のすべてを注ぎ、熱中のあまり家屋敷を失った者、過去には国を滅ぼした者すらいた。1200年もの間、中国の男たちを魅了しつづけるコオロギ文化のすべてを紹介する。




この本の中から、日本には馴染みのない「闘蟋」の手順や、闘蟋で使われる小さな道具たちをご紹介します。ミニマムな、そして熱い闘いの世界をご覧ください。


闘蟋とは

闘蟋(とうしつ)とは、重量別に二匹のオスコオロギを闘わせ、ひと秋かけて最強のチャンピオンを決める遊びです。中国では1200年前の唐の時代に、すでに「闘蟋」をしていたという記録が残っています。

虫のオーナーたちは、自分で捕まえたり買ったりして、競技に参加する虫を育てます。オーナー同士サークルを作って、お互いのコオロギを闘わせるスタイルが一般的です。


闘蟋の手順
  実際の闘蟋の手順を見てみましょう。
計量準備
1:計量準備
養盆(ようぼん・画面中央の素焼きで出来た容器)で育てているコオロギを試合に出す日です。まずは重さを量るため、吊籠という軽い容器に移します。
計量
2:計量
吊籠ごと、天秤で重さを計ります。
配闘
3:配闘
重さをそれぞれの養盆の上に書き込みます。同じ体重の虫を探して対戦させますが、重さだけでなく虫の体つきなども考慮してオーナーが対戦を決定します。このプロセスが「配闘」で、慎重に行われます。
戦闘準備
4:戦闘準備
プラスチックで出来たリング「闘盆」にコオロギを落とします。触角に似た道具でコオロギを刺激し、闘志を引き出します。
戦闘開始
5:戦闘開始
仕切りを外して戦闘開始です。手前の養盆の中にはメスコオロギがいます。戦意高揚のため、試合直前に交尾をさせたのです。このように、オーナーはトレーナーとして虫の管理に万全を尽くします。
勝利宣言
6:勝利宣言
左のコオロギがハネを振るわせて鳴いています。こちらが勝者です。


虫の道具あれこれ 秋の虫を楽しむため、さまざまな道具が作られています。
どれも小さく、精巧なものばかりです。
吊籠
1:吊籠
体重を計るときに虫を入れる筒です。竹筒を薄く削って作り、紙のように軽量です。
はかり
2:竿式はかり
吊籠ごと虫の体重を計ります。組み立て式で、しまうと筆箱ぐらいになります。
茜草
3:茜草(せんそう)
ネズミのひげなどを植え込んで作ります。これでコオロギを刺激すると他のコオロギが縄張りに入ってきたと勘違いし、闘志をかきたてることができます。
闘盆
4:闘盆
プラスチック製。底はありません。この中でコオロギが闘います。
水皿
5:水皿
幅2センチくらいの本当に小さなもの。いろいろな絵柄があります。
鈴房
6:鈴房(リンファン)
養盆の中に入れる虫の寝床です。
虫具
7:ひょうたん虫具
鳴く虫を入れ、懐中で暖めながら鳴き声を楽しむ道具です。
銅拉子
8:銅拉子(トンラーズ)
エンマコオロギを中に入れ、持ち歩くためのもの。こちらは銅でできています。
虫かご
9:虫かご
キリギリスを飼うものです。鳥かごみたいですが、高さは10cm程度です。

秋の夜長にぜひどうぞ! 店主からも、この秋イチオシの一冊です。