内容
SDGsの観点から防災教育を見直す
長年防災教育に携わってきた著者が、自然と人間とのかかわりをSDGsの観点から見つめなおし、防災教育を通して持続可能な社会をつくっていくために必要な自然への理解をまとめた。美しい景観を作り上げる自然現象が人に被害をもたらすことで自然災害になる、という自然の二面性についてビジュアルに解説している。
目次
はじめに
第1章 SDGsを踏まえた防災・減災
第1節 持続可能な社会と防災教育
1 ESD・SDGsと自然災害
(1)持続可能な社会の構築と環境理解
(2)SDGsと防災・減災
2 国際的な防災・減災
(1)日本の国際貢献と国連防災世界会議
コラム:レジリエントな社会構築と防災教育・地域防災力の向上を目指して
(2)SDGsと防災教育
3 防災・減災とレジリエンス
(1)災害が歴史に与えた影響
(2)災害にも強いレジリエンス
(3)日々の危機管理のトレーニング
コラム:「安全文化」「災害文化」の構築
第2節 防災・減災に関する教育や活動の重要性
1 地域の過去を知ることの大切さ
(1)自然の歴史と人間の歴史
(2)繰り返される津波による被害
(3)全国各地に発生する風水害
(4)地域特有の自然災害
(5)将来に備えるためにはまず過去を知る
2 移動の著しい時代における各地域の災害理解
(1)様々な自然環境と災害
(2)多様な災害についての理解
3 各地域における新たな結び付き
(1)自助・共助・公助
(2)学校に期待される避難所の運営
(3)学校と地域、地域の中での新たなつながり
4 防災から様々な危機管理への応用
(1)多様な事件、事故・災害への対応
(2)危険予測、危険回避をする資質・能力の共通性
(3)〇〇教育との関係
コラム:学校安全の狙いと構造
5 災害が多発する時代の「生きる力」の育成
(1)「生きる力」と防災教育
(2)国や大人にとっても必要な「生きる力」
6 自然環境、科学技術が持つ二面性の理解
(1)自然の二面性
(2)科学技術の二面性
7 様々な支援の在り方
(1)子供たちもできる被災者支援
(2)他地域、他国の被災に何ができるか
第2章 自然災害・複合災害の基礎知識――SDGsを進めるために
第1節 災害とは何か、恵みと共に考える
1 自然災害、事故災害、それらの種類
(1)災害の分類
(2)地震・津波、その後の火災によって発生する被害
コラム:重要視される地震保険
2 自然現象と人間活動との関係
(1)自然現象と自然災害
(2)人類が登場する前の火山活動
3 自然災害とは異なった自然現象の恩恵
(1)金属鉱床の形成
(2)河川の役割
(3)観光化される自然
第2節 災害発生のメカニズム――自然現象が自然災害となる時
1 地震・津波の原因
(1)地震が発生するしくみ
(2)地震がもたらす複合災害
2 噴火し続ける火山列島
(1)火山の分布と地震の分布
(2)日本列島における火山の発生と分布
(3)世界の火山発生のメカニズム
コラム:火山・地震活動を生じるプレートの形成
3 短期間の予測可能な気象災害
(1)台風・集中豪雨
コラム:台風と高潮の関係
(2)豪雪
(3)雷・突風・竜巻
4 日本の四季の特色
(1)日本をめぐる気団の存在とその影響
(2)春から秋へ(梅雨前線と秋雨前線)
(3)秋から冬へ
コラム:温暖前線と寒冷前線
5 土砂災害
(1)日本列島に多い斜面災害
(2)破壊力の大きい土石流
(3)大規模な広さに達する地すべり
コラム:自然災害が様々に描写されてきた日本列島
第3節 原子力発電とエネルギー問題
1 複合災害としての原子力発電所事故災害
(1)原子力発電の新たな課題
(2)過去の原子力発電所事故
(3)東京電力福島第一原子力発電所事故とその影響
(4)放射線教育の必要と学校の復旧
(5)日本の原子力の発電所の課題
2 SDGsと日本のエネルギー事情
(1)エネルギーをみんなにそしてクリーンに
(2)日本のエネルギー状況
(3)2度のオイルショックがエネルギー施策に与えた影響
(4)地球温暖化と原子力発電
コラム:廃炉まで先の見えない原子力災害
第3章 災害への備えと予測
第1節 自然災害は予測できるのか
1 地震・津波、噴火の情報と予測判断
(1)想定外の津波
(2)日本海側の津波
(3)予想の難しい火山噴火
(4)雪崩、雷、竜巻・突風などの野外活動中の事故
2 天才か人災か;自然災害をめぐる訴訟から
(1)災害の責任と原因
(2)高度経済成長期の水害に関する訴訟
第2節 災害情報の取得と活用
1 気象情報・災害情報
(1)注意報・警報・特別警報の発表
コラム:連続して発生した熊本地震
(2)避難指示の発令
2 危機への対応と教育の重要性
第3節 身を守るための日常の備え
1 家庭で生きる学校での避難訓練
(1)避難訓練・マニュアル作成
(2)ハザードマップの活用
2 応急手当とAEDの必要性
3 日常の整理・整頓
(1)デスクワークと火災の対策
(2)「落ちてこない・倒れてこない・移動してこない」
4 日常の事故防止が災害時に活きる
5 ユニバーサルデザインとハンディキャップを持った人たちへの配慮
6 ほかの地域の教訓から学ぶ
第4節 組織的な防災・減災
1 国全体としての取り組み
2 様々なレベルでの組織活動
(1)大学と地域の学校との連携
(2)地域の人たちによる避難所設置・運営
3 防災キャンプ・登山の体験と防災訓練
(1)野外での避難所設営
(2)防災キャンプの意義
第4章 自然環境理解と持続可能な社会の構築
第1節 自然の恩恵と災害
1 野外活動、自然体験・景観から災害・防災を学ぶ
2 山の自然に親しむ
(1)山地での恵みと備え
(2)風化し真砂化した花こう岩
(3)プレート運動によって運ばれてきた岩石
(4)火山活動によってできた山々
コラム:溶岩が作る景観
3 海・河川・湖などの恵み
(1)湖とカルデラ湖
(2)溶岩によって川がせき止められてできた水域
コラム:ラムサール条約
(3)地殻変動だけでなく、温暖化も関係するリアス海岸
コラム:地震によって隆起して現れた海岸
(4)火山活動と無関係な温泉
第2節 自然環境理解からSDGsまで
1 国立公園、ジオパークでの自然の二面性の学び
(1)伝統的な国立公園・国定公園等
(2)ジオパーク
2 子供たちによる災害支援「環境・観光・防災」
3 豊かな国を目指して
(1)豊かさの別の指標
(2)国連に対する日本とノルウェーの共通性
(3)ノルウェーのエネルギー方針
(4)日常の環境への配慮
(5)成熟した国と開発途上の国での交通ルール
(6)SDGs11.b 「総合的な災害リスク管理を策定し、実施する」
おわりに
さくいん