言語学者のニューカレドニア

メラネシア先住民と暮らして

言語学者のニューカレドニア
著者 大角翠
ジャンル 書籍 > 言語・言語学 > エッセイ
出版年月日 2018/09/10
ISBN 9784469213713
判型・ページ数 四六・306ページ
定価 3,080円(本体2,800円+税10%)

内容

これがフィールドワーク!

「天国にいちばん近い島」では多くの先住民の言語が消滅の危機に瀕している。衛生観念も時間の概念もない、狩猟採集に頼った暮らしをする人々の中に一人飛び込んでの言語調査で、著者は個性豊かな人々とふれあい、「ことば」という不思議な世界と出会う。近代化にさらされる伝統的社会に30年にわたって寄り添った貴重な記録。

 ★作家・大道珠貴氏より推薦の言葉をいただきました。こちら(PDF)をご覧ください。

目次

はじめに

第一章 ニューカレドニアへの道のり
初めて見た南十字星/パリからキャンベラへ/オーストラリア国立大学/メラネシアの人々/天国にいちばん近い島?

第二章 トリビュに出かけるまで
ウヴェア島/カナク人のパン屋さん/ニューカレドニアの植民/移民と先住民の暮らし/ヌメアで下調べ/ジャン=マリー・チバウ氏/守られない時間の約束/ダニエルの執念

第三章 プティクリの暮らし
トリビュに到着/グランクリと周辺言語/インフォーマントよ、いずこに/食料の調達/重い背負子

第四章 ことばの力
ことばの持つ意味/部族ごとに異なる言語/谷を向いて話す人々/言語音の多様性

第五章 ティンリン語の調査
調査を始めたものの/単語を聞き取る/誰の頭?/所有構造のタイプと意味の相関/ナンやニンばかり?

第六章 カナクの人々
アダムの家族/星降る夜と子どもたち/家族の序列/トリビュの犬や猫/一緒にご飯を食べちゃダメ/二人の母、たくさんの母、一人の豆

第七章 トリビュの日常
カーズと水事情/ジュースを頂戴/複雑な所有構造/カナクのおもてなし/食事の作法

第八章 カレドニアンの人々と暮らし
トントゥータからラフォアへ/ヴォードー家、農場の生活/なんでも自家製/ラフォアのヌーヌー/イル・デ・パン最後のティンリン語話者/狩猟に行く/リーフやマングローブ畑

第九章 ことばから見えるカナクの世界
善か悪? 死んだ? 病気?/どうやって殺す?/情報が山盛りの動詞接頭辞/叩いたけど当たらなかった/それは誰のこと?

第一〇章 新たな言語との遭遇
前途多難の予感/発音の試練/やっとワウェへ/ナタンの家/自然の中の生活/ドゥドゥ/酋長ルネ/いも虫のごちそう/テクノニミー/おじいさんと孫たち、対になったことば/隣の言語でもちんぷんかんぷん/ネク語の動詞語根と派生動詞

第一一章 伝統的な暮らしと変化の波
ジスレーヌの新しい家/ワウェの人々/ワウェの動物/商塊たくましいジスレーヌ/ヤム芋、タロ芋の栽培/イノシシのマック/ネク語の先生/ネク語の音体系/トーテム信仰とタブー/民間治療

第一二章 近代化へのジレンマ
新しい商売/昔ながらの精神文化/若者たちの苦悩/ちぐはぐな文化生活/フランス医療の恩恵/先住民語とカナク人のこれから

おわりに


参考文献

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