内容
健康 × 情報活用力 ⇒ ヘルスリテラシー
健康格差への処方箋! 情報化社会を元気に生き抜くために必要な力として注目されている「ヘルスリテラシー」。ヘルスリテラシーとは何か、どう測るのか、どのように現場で活用できるのか、理論から実践での活用までを網羅的に解説。学生から実践家まで役立つ、初のヘルスリテラシーの成書!!
目次
本書の発刊にあたって
第1章 ヘルスリテラシーとは(中山和弘)
1 リテラシーが示す内容の広がり
1 リテラシーとは
2 情報化時代に必要なリテラシー
3 リテラシーの3つのレベル:エンパワーメントと批判的リテラシー
4 ヘルスリテラシーへの注目
2 ヘルスリテラシーの定義
1 ヘルスリテラシーとは何か
2 ヘルスリテラシーが求められる多様な場面
3 ヘルスケアにおけるヘルスリテラシー
1 ヘルスケアの現場でのヘルスリテラシーに配慮したコミュニケーション
2 ヘルスリテラシーのある組織の特徴
4 健康教育とヘルスプロモーションにおけるヘルスリテラシー
1 ヘルスリテラシーの背景にある健康教育とヘルスプロモーションの理論
2 ヘルスプロモーションのアウトカムとしてのヘルスリテラシー
3 ヘルスリテラシーの3つのレベル
4 批判的ヘルスリテラシーと健康の社会的決定要因
5 「ヘルスリテラシーのある社会」に必要な能力
1 多様な次元のヘルスリテラシー
2 パブリックヘルスリテラシー
3 ソーシャルキャピタルとしてのヘルスリテラシー
6 ヘルスリテラシーの測定と要因、健康との関連
1 ヘルスリテラシーの測定
2 ヘルスリテラシーを形成している3つの要因
3 ヘルスリテラシーが「不十分」であることがもたらす健康への影響
7 世界におけるヘルスリテラシーへの取り組み
1 米国での取り組み
2 カナダのインターセクトラルアプローチ
3 WHOによる取り組み
第2章 ヘルスリテラシーの歴史と広がり(杉森裕樹)
1 ヘルスリテラシー研究が誕生するまで
1 ヘルスリテラシー研究の黎明期(1950~1990年代初頭)
2 ヘルスリテラシー研究の誕生(1990年代)
2 ヘルスリテラシー研究の発展と概念の拡張
1 ヘルスリテラシー研究の発展(2000年代)
2 ヘルスリテラシー概念の成長(2000年代)
3 ヘルスリテラシー研究の現在
1 国際的な研究の広がりと包括的なヘルスリテラシー概念の構築(2010年代)
2 ヘルスリテラシー研究に残された課題
4 ヘルスリテラシー研究の今後に向けて
1 ヘルスリテラシーの適用範囲の広がり
2 わが国のヘルスリテラシー研究の広がりに関する一考
第3章 ヘルスリテラシーの評価法(石川ひろの)
1 ヘルスリテラシーの評価の視点
1 概念の定義から測定へ
2 「何を」評価するのか
3 「何のために」評価するのか
4 「どのように」評価するのか
2 客観的評価ツール
1 Newest Vital Sign日本語版(NVS-J)
2 Lipkusらのヘルスニュメラシー尺度日本語版(Lipkus-J)
3 日本人用Functional Health Literacyテスト(JFHLT)
3 自己報告式の評価ツール
1 ヘルスリテラシー・スクリーニング項目
2 Functional, Communicative and Critical Health Literacy(FCCHL)尺度
4 主に一般市民を対象とした評価ツール:臨床から公衆衛生へ
1 Communicative and Critical Health Literacy尺度(CCHL)
2 14-item Health Literacy Scale (HLS-14)
3 eHealth Literacy Scale (eHEALS)日本語版
5 国際比較へ向けた評価と今後の展望
1 HLS-EU-Q47日本語版
2 ヘルスリテラシーの評価に関する展望と意義
第4章 ヘルスリテラシーと健康教育(江口泰正)
1 「ヘルスリテラシー」をキーワードに進める健康教育
1 実践に活かすために
2 日本におけるヘルスリテラシーの捉え方
2 「健康」と「教育」の意味の再確認
1 「健康」の先にあるものは
2 「教育」の先にあるものは
3 ヘルスリテラシーの向上のために
1 理論をどう活用するか:エビデンスとナラティブ
2 ヘルスリテラシーを高める教育手法
4 健康教育における様々な支援法
1 ヘルスリテラシーとモチベーション
2 モチベーションを高める支援法
第5章 ヘルスリテラシーと情報(酒井由紀子)
1 ヘルスリテラシーと情報のかかわり
1 ヘルスリテラシーにおける情報の位置づけ
2 情報リテラシー
3 メディアリテラシー
2 ヘルスリテラシー問題の情報側からの解決アプローチ
1 ヘルスリテラシー問題の解決アプローチ
2 機能的ヘルスリテラシー補完の必要性
3 記録された情報としての文書への着目
3 英語のリーダビリティおよび関連研究とヘルスリテラシー問題への応用
1 リーダビリティとは
2 英語のリーダビリティ研究
3 ヘルスリテラシー問題への応用
4 英語の医学用語の語彙研究
4 日本語のリーダビリティおよび関連研究
1 日本語のリーダビリティ研究
2 ヘルスリテラシーにかかわる関連研究
3 日本語の医学用語の語彙研究
5 日本語における情報の適正化の実際と今後の展望
1 目安としてのリーダビリティ測定ツールの利用
2 語彙の工夫
3 学際的研究の重要性
第6章 学校におけるヘルスリテラシーに着目した取り組み(渡邉正樹、中谷淳子)
1 学校教育でのヘルスリテラシーの捉え方
1 学校教育とヘルスリテラシー
2 「21世紀型能力」とヘルスリテラシー
2 学校健康教育におけるヘルスリテラシーの位置づけ
1 米国の学校健康教育における取り組み
2 日本の保健教育における現状
3 ヘルスリテラシーを育成する学校健康教育の実践
1 ヘルスリテラシーの育成に効果的な学習活動とは
2 中学校保健体育科保健分野におけるヘルスリテラシーの授業実践例
4 大学の専門教育(看護基礎教育)における取り組み
1 看護基礎教育におけるヘルスリテラシー育成の必要性
2 健康教育実践者に必要な知識や技術
3 健康教育実践者を育成するための教育内容と学生のヘルスリテラシー育成
5 看護学科2年次におけるヘルスリテラシー育成の教育実践例
1 演習の内容
2 演習からの学びとヘルスリテラシーの育成
3 看護基礎教育におけるヘルスリテラシー育成の今後の展開
第7章 職場におけるヘルスリテラシーに着目した取り組み(福田洋)
1 はじめに
2 職場でヘルスリテラシーが注目される理由
1 Workplace Health Promotion(WHP)のアウトカムとしてのヘルスリテラシー
2 日本における職場の健康づくりとヘルスリテラシー
3 職場の健康格差への処方箋としてのヘルスリテラシー
3 職場でのヘルスリテラシー活用に向けた学びの蓄積
1 関連学会・研究会での学習の軌跡
2 Don Nutbeam氏の訪問から学んだこと
4 職場でヘルスリテラシーを活用するために
1 職場でヘルスリテラシーを活かす戦略
2 ヘルスリテラシーを従業員はどう捉えているか
5 職場におけるヘルスリテラシーを活用した取り組みの実践例
1 家庭用化学品メーカーでの調査と新入社員研修への活用例
2 ホワイトカラー職場でのヘルスリテラシーの測定とヘルスプロモーションの例
3 大学病院教職員向けの取り組みでの活用例
6 職場におけるヘルスリテラシー活用の今後の展望
第8章 地域におけるヘルスリテラシ-に着目した取り組み(吉田直美)
1 地域における活動とヘルスリテラシー
1 地域での活動にヘルスリテラシーを導入するに当たって
2 福岡県古賀市における健康教育への取り組み
2 市民力を活かした健康づくりと健康教育
1 市民との共働による健康づくりの推進
2 健康意識を高めるツールの提供
3 ヘルス・ステーションの設置:地域の公民館を健康づくりの拠点へ
4 担当課を超えた融合的取り組み
3 話題を共有することによる健康教育
1 乳児をもつ親に対する骨密度測定と健康教育
2 地域の学校における骨密度測定と健康教育
3 働く世代を対象とした骨密度測定と健康教育
4 ヘルスリテラシーの概念を取り入れた今後の展開
第9章 医療機関におけるヘルスリテラシ-に着目した取り組み(阪本直人)
1 ヘルスリテラシーが「不十分」な人の見つけ方と医療スタッフ間での共有の実際
1 日本人はヘルスリテラシーが低いのか?
2 ヘルスリテラシーが「不十分」な人の特徴
3 目印を付けて、医療スタッフ間で共有
2 コミュニケーションを促進させ、ヘルスリテラシーを向上させる5つの方法
1 質問や話し合いができる「場」の整備
2 情報の伝え方、情報提供時の配慮
3 理解の確認
4 「家族」という資源を最大限に活用する
5 患者の医療情報が各医療機関で共有されることの重要性を伝える
3 日本のプライマリ・ケアシステムの確立と国民レベルでのヘルスリテラシー向上へ
1 プライマリ・ケア機能を十分に果たせる保健・医療システムの構築に向けて
2 国民レベルでのヘルスリテラシーの向上
おわりに
さくいん
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