「聞き書き」の力

表現指導の理論と実践

内容

「聞き書き」指導のすべてがわかる!

次期学習指導要領で求められるアクティブラーニング(思考力・判断力・表現力の育成)に最適。レポート・小論文指導はもちろん、AO入試の志望理由書にもきわめて有効。実例に即してその指導法を具体的にわかりやすく解説。
◎立花隆氏へのインタビュー・塩野米松氏との対談を収録。
◎「聞き書き」のすごさを実感できる、生徒作品14編を収録

目次

読者に

序章 なぜ今、「聞き書き」なのか(中井浩一)

一 「聞き書き」とは何か
二 教育手法としての聞き書き
三 若者たちの課題とその解決策
四 学習指導要領が私たちに問いかける問題
五 「国語科」とは何か
六 PISA型学力
七 温故知新――教育改革と「聞き書き」

ここまで書ける! 生徒作品実例集
●生徒作品① 言語聴覚士の姉
●生徒作品② ヒューマン・アニマル・ボンドのチカラⅡ
●生徒作品③ OLとは言え、企業戦士
●生徒作品④ 心に寄り添った介護を
●生徒作品⑤ ああ、僕は今生きているぞ――筋ジストロフィーの青年に聞く
●生徒作品⑥ 声なき号泣――中野トミさんの戦争体験

第一章 聞き書きの魅力と可能性(古宇田栄子)

一 作文教育との出会い
 1 作文教育との出会い
 2 「自分史」と「聞き書き」

二 聞き書きの魅力
 1 働く人に学ぶ
 (1)将来の生き方を考える
 (2)言語聴覚士の姉に聞く
 (3)お母さんの経験を聞く
 (4)特別養護老人ホームで聞く
 (5)大学や専門学校での実践
 2 祖父母や父母の歩んできた道
 (1)我家の歴史
 (2)家族の歴史にドラマあり
 (3)人から学ぶということ

三 聞き書きの教育力
 1 教育における聞き書きの位置づけ
 2 聞き書きの特性

第二章 聞き書き指導法入門編(古宇田栄子)

一 指導の流れ
 1 聞き書き指導で大切なこと
 2 テーマと指導目標
 3 参考作品を選ぶ
 4 指導の流れ

二 導入――意欲の喚起及び題材指導
 1 聞き書きに取り組む意義を熱く語ろう
 2 参考作品を読んでみよう

三 取材指導
 1 本音で語ってもらう
 2 質問の仕方を考えよう
 (1)「例えば?」は魔法の言葉
 (2)聞き書きは、語り手と聞き手の共同作品
 (3)予測できない話題こそおもしろい
 3 取材対象者の選定と質問項目の作成
 4 模擬インタビューをしてみよう
 5 取材の依頼からインタビュー当日までの心構え
 (1)礼儀の基本は相手に対する敬意と誠意
 (2)メールで依頼する、電話で依頼する
 (3)インタビュー当日の心構え

四 構成指導
 1 記憶が新しいうちに書き始めよう
 2 構成の方法
 (1)作品全体の構成
 (2)本文(取材した内容)の構成

五 記述指導
 1 文体を決める
 (1)一問一答形式と一人語り形式の特徴
 (2)相手の発言を入れた説明的な文章とドキュメント風(記録文風)の文章
 2 具体的に生き生きと書く
 (1)口調(語り口)を生かす・具体的に書く
 (2)具体的に説明する・時には要約する
 (3)表情をよく見て書く・語り手と聞き手の思いを区別する
 3 よりよい文章にするために

六 推敲指導
 1 推敲の意味
 2 推敲の授業

七 鑑賞指導
 1 読み合うことの意味
 2 鑑賞の授業

八 文集づくりの意義と編集のコツ

《インタビューと対談》
◆立花隆氏インタビュー
 教育の基本は言葉を交わすこと――「調べて書く」実地教育のすすめ
◆対談 塩野米松氏×中井浩一
 「聞き書き」指導が高校生を変える

第三章 表現指導のカリキュラムと指導理念(中井浩一)

一 表現指導のカリキュラム試案
二 表現指導のカリキュラムと指導理念
 1 「主観に溺れている」
 2 「全体」を押さえることの意味
 3 人類の使命と教育の本質
 4 聞き書きのテーマ、取材対象、グループ学習
 5 学校全体の教育活動へ

三 描写文と説明文(意見文)
四 各学年での一年間のカリキュラム
五 鶏鳴学園での指導過程

第四章 「聞き書き」から意見文、論文、志望理由書に(中井浩一)

●生徒作品⑦ 現代福祉学部への志望理由書
●生徒作品⑧ AO入試のための志望理由書
●生徒作品⑨ 異文化兄妹(課題作文)

一 受験でも威力を発揮する聞き書き――志望理由書と課題作文
二 「問い」を立てること、事実と向き合うことのむずかしさ――動物介在療法を調べる
三 他者と向き合い、事実と向き合う――原発問題と取り組んで
四 兄や両親と向き合う――異文化兄妹

第五章 「聞き書き」(インタビュー)を含んだ、理科・社会科のレポートの書かせ方(中井浩一)

●生徒作品⑩ PETボトルは何処へ
●生徒作品⑪ 医者になって何ができるか

一 木下是雄の『理科系の作文技術』――隠れたベストセラー
二 全教科での言語活動
三 木下是雄のレポート指導法の原則
 ①文章(考え)のまとめかた/②テーマ設定、テーマの絞り込み/③事実と意見の区別 ④パラグラフ理論

四 主観的感想の行方
五 高校生にとっての学習とレポートの理想形
六 レポートの構成
七 理科系のレポートと「主観的な感想」
 1 自分のテーマを持つ
 2 成功した学習とは何か――くつがえされる予測

八 社会科のレポート――インタビューを生かす構成と文体
 1 理科と社会科の違い
 2 海城学園社会科の総合学習
 3 インタビューの持つ力
 4 インタビューの「要約」
 5 インタビューを生かす構成と文体
 6 「医者になって何ができるか」

第六章 文体の問題(中井浩一)

●生徒作品⑫ 慟哭
●生徒作品⑬ 出会いはベッドの上だった
●生徒作品⑭ 陸軍病院で死んだ伯父

一 四種類の文体
二 インタビューの基本構造――「話し手」と「聞き手」と「話題」
三 インタビューの現場から五つの文体への展開
四 事実とウソと真実の関係
五 深いレベルのインタビューにおける文体の区別
六 教育の場での聞き書きの文体と構成
 1 聞き書き学習における文体と構成
 2 インタビューの現場
 3 一人語りの文体

七 高校生のことばをモノローグからダイアローグにひらく
八 問題意識を作る
九 社会科や理科のレポート
十 創作風の表現――物語化
十一 叙事詩にまとめる――韻文作品
十二 創作の危うさ――事実とウソと真実
十三 文学的表現の生まれる場

あとがき 1 高校作文教育研究会のこと(中井浩一)
あとがき 2 聞き書きをテーマとした共同研究について(古宇田栄子)
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