ボール運動の教材を創る

ゲームの魅力をクローズアップする授業づくりの探究

ボール運動の教材を創る
著者 岩田靖
ジャンル 書籍 > 体育 > 体育指導法
大学テキスト > 体育・スポーツ > 教科教育、教員養成
出版年月日 2016/03/01
ISBN 9784469267877
判型・ページ数 A5・288ページ
定価 2,200円(本体2,000円+税10%)

内容

ボール運動の授業を成功に導くヒントが満載

ゴール型、ネット型、ベースボール型の授業を成功に導くためには、どのような教材を用意すればよいのか。ボール運動の教材づくりに主眼を置いて、基本的な考え方を解説するとともに、具体的な教材例と授業展開例を提示。また、ボール運動で求められる投補の技能やバット操作技能の指導法も提案している。

目次

まえがき

第1章 ボール運動の教材づくりの視点と方法

1 本物のボール運動の授業を目指して
[1]個人的な「技能中心」の授業、無意図的な「ゲーム中心」の授業を乗り越える
   ──学習成果を実現する授業モデルの模索
[2]「意図的・選択的な判断に基づく協同的プレイ」の実現
[3]既存の種目の形式に苦しむ子ども
[4]今日求められているボール運動の授業を階層的な次元から見直す
[5]子どもにとっての「本物のゲーム」を生み出す教材づくりの必要性

2 学習指導要領の改訂とボール運動──やさしい教材づくりの必要性
[1]1998(平成10)年の学習指導要領
[2]2008(平成20)年の学習指導要領
[3]中学校の領域内容構成
[4]求められた「やさしい教材づくり」──ゲームの修正
[5]「やさしい教材づくり」の必要性の論拠──ボール運動の授業づくりの前提

3 戦術中心の学習指導論に学ぶ
[1]ゲームでのプレイ・パフォーマンスに関心を寄せる戦術学習
[2]「戦術アプローチ」のベースに存在する「理解のためのゲーム指導論」
[3]ボール運動の教材づくりへの示唆──ゲーム修正論

4 「ゴール型」の教材づくりの課題意識とその方向
[1]子どもにとってのゴール型の難しさ
[2]ゴール型ゲームの修正の一手法としての「明示的誇張」
[3]子どもたちに課題解決の手掛かりを与える「付加的ルール」
[4]エリアとゴールの複合的な明示的誇張──「明示的誇張」の教授学的根拠
[5]判断の「契機」の視点からゲームの複雑性を考える

5 「ネット型」の教材づくりの課題意識とその方向
[1]ネット型の教材づくりの経緯
[2]ネット型(「連携プレイ」タイプ)のゲームの系統性
[3]「攻守一体プレイ」タイプのゲームの教材づくり

6 「ベースボール型」の教材づくりの課題意識とその方向
[1]ベースボール型の教材づくりへの問題提起
[2]ベースボール型の教材づくりの傾向と課題
[3]ベースボール型における守備側の判断の「誇張」
[4]ゲーム状況の判断の「契機」と「対象」からみた教材の系統性

7 ゲーム修正の理論からみた「誇張」の手法の探究
[1]「誇張」とゲームにおける「意思決定」
[2]「誇張」の視点の検討
[3]意思決定(判断)の「対象」と「誇張」の手法
[4]意思決定(判断)の「機会」と「誇張」の手法

8 ボール運動領域における階層的な教材づくり
[1]教材の階層性
[2]「ドリルゲーム」と「タスクゲーム」の違い
[3]高橋健夫の「課題ゲーム」論
[4]ドリルゲーム・タスクゲームの質と量

9 ボール運動領域の学習と「仲間づくり」
[1]「内在的価値」と「外在的価値」の区別論を再考する
[2]スポーツの文化性の理解と教育的価値──達成行動としてのスポーツ
[3]ボール運動と仲間づくり

10 体育授業の質を高めるストラテジーとボール運動
[1]多面的・構造的な意思決定の対象
[2]授業を方向づける「時間的思考」
[3]授業の現実的条件をベースにした「空間的思考」

第2章 ボール運動の教材づくりの実際

1 【ゴール型】「ダブルゴール・サッカー」の教材づくり〈3年生〉
[1]「ダブルゴール・サッカー」の教材づくりの構想
[2]単元展開の概略
[3]ゲーム・パフォーマンスに関する学習成果の分析
[4]形成的授業評価からみた授業成果

2 【ゴール型】「トライアングル・シュートゲーム」の教材づくり〈4年生〉
[1]教材づくりの前提としてのゲームの教授学的思考
   ──「トライアングル・シュートゲーム」における課題意識
[2]単元構成と授業の展開
[3]ゲーム・パフォーマンスに関する学習成果の分析
[4]形成的授業評価からみた授業成果

3 【ゴール型】「スクウェア・セストボール」の教材づくり〈4・5年生〉
[1]「意思決定」からみた「ゴール型」ゲームの前提と「スクウェア・セストボール」の教材づくりにおける課題意識
[2]「スクウェア・セストボール」の単元展開の概略
[3]ゲーム・パフォーマンスに関する学習成果の分析
[4]形成的授業評価からみた授業成果
[5]小学校4年生での実践例における教材づくり
[6]単元における授業展開と学習成果の分析

4 【ゴール型】「セイフティーエリア・タッチビー」の教材づくり〈4年生〉
[1]「タグラグビー」の素材価値に関する解釈
[2]「タグラグビー」の教材化──「セイフティーエリア・タッチビー」の構成
[3]「セイフティーエリア・タッチビー」のルールの大要
[4]「セイフティーエリア・タッチビー」の単元展開の概略
[5]ゲーム・パフォーマンスに関する学習成果の分析
[6]形成的授業評価からみた授業成果

5 【ゴール型】「ドライブ・バスケットボール」の教材づくり〈5年生〉
[1]アウトナンバー・ゲームの有効性を高める工夫
   ──「ドライブ・バスケットボール」の教材づくりにおける課題意識
[2]「ドライブ・バスケットボール」の単元展開の概略
[3]ゲーム・パフォーマンスに関する学習成果の分析
[4]形成的授業評価からみた授業成果

6 【ゴール型】「フラッグフットボール」の授業評価〈5年生〉
[1]「Sさん」の授業評価からみたフラッグフットボールの授業
[2]フラッグフットボールの特徴と授業の可能性
[3]「フラッグフットボール」の教材化の工夫
[4]単元の展開と子どもの様子
[5]形成的授業評価からみた授業成果
[6]「形成的授業評価」と「仲間づくりの授業評価」の関係

7 【ゴール型】「スライドボール・サッカー」の教材づくり〈中学3年生〉
[1]教材づくりの前提としてのゲームの教授学的思考
   ──「スライドボール・サッカー」の教材づくりにおける課題意識
[2]「スライドボール・サッカー」の単元展開の概略
[3]ゲーム・パフォーマンスに関する学習成果の分析
[4]形成的授業評価からみた授業成果

8 【ネット型】「ワンバンネットボール」の教材づくり〈4年生〉
[1]「ワンバンネットボール」の教材づくり
[2]単元展開の概略
[3]授業の展開と子どもの様子

9 【ネット型】「ダブルバウンド・テニス」の教材づくり〈6年生〉
[1]「ダブルバウンド・テニス」の教材づくり
[2]「ダブルバウンド・テニス」の単元展開の概略
[3]単元におけるゲーム様相の分析
[4]形成的授業評価からみた授業成果

10 【ネット型】「キャッチセット・アタックプレルボール」の教材づくり〈4年生〉
[1]「キャッチセット・アタックプレルボール」の構成
[2]単元計画および教師の指導の概要
[3]ゲーム・パフォーマンスに関する学習成果の分析
[4]形成的授業評価からみた授業成果

11 【ベースボール型】「あつまりっこベースボール」の教材づくり〈2年生〉
[1]「ベースボール型」ゲームへの発展を意図したボールゲームの学習内容の検討
[2]低学年「ボールゲーム」の教材づくり──「あつまりっこベースボール」
[3]単元構成の概要と学習展開

12 【ベースボール型】「ネオ・フィルダー・ベースボール」の教材づくり〈5年生〉
[1]「ネオ・フィルダー・ベースボール」の基本的なゲーム構成
[2]「ネオ・フィルダー・ベースボール」のルール
[3]単元構成の概略
[4]ゲーム・パフォーマンスの分析
[5]守備行動についての教師の指導の明瞭性

13 【ベースボール型】「ブレイク・ベースボール」の教材づくり〈6年生〉
[1]「ブレイク・ベースボール」のルールの構成
[2]単元展開の概略
[3]ゲーム・パフォーマンスに関する学習成果の分析
[4]形成的授業評価からみた授業成果

第3章 補論──ボール運動における基礎的技能の教材づくり

1 「スナップの力感」を視点にした投運動の教材づくり〈2年生〉
[1]動作の外部的評価と遠投距離とのズレ
[2]投運動の動きの課題性
[3]技能的な学習内容の中核をどこに求めるのか
[4]中心的な学習内容の習得を促す教材・教具の工夫
[5]授業の展開の大要
[6]ボール投げでの指導言葉
[7]遠投距離の変化

2 動いてくるボールへの対応力を高める教材づくり〈2年生〉
[1]「ボール遊び」の教材づくり──「バウンド・キャッチゲーム」
[2]単元構成の概要と学習展開
[3]簡易スキルテストの方法とその結果
[4]形成的授業評価の結果

3 バッティング動作の発生を促す教材づくり〈5年生〉
[1]バッティングの能力を高める前提
[2]バッティング動作の習得を促す学習内容の抽出
[3]学習内容としての2つの感覚学習を促す教材・教具づくり
[4]単元過程における「バッティングドリル」
[5]バッティングのパフォーマンスの分析

あとがき

ジャンル