内容
学びの共同体による体育授業と学びの創造
学びの共同体は最も強力な授業と学びの改革のうねりを生み出しており、それは体育科においても例外ではない。学びの共同体の改革は、体育科の授業実践に新しい学びの様式をもたらし、新しい授業研究の様式を生み出している。本書は、その新たな授業実践と学びの在り方を示して、それらの基礎になる哲学と理論も示している。
目次
●プロローグ──学びの共同体と体育の学び
第 I 部 体育における対話的学びをデザインする
第1章 体育における学びの移り変わり
1 学校教育現場における「学び合い」研究
2 文化・歴史学派(ヴィゴツキー学派)の研究概観
3 日本における学び論の展開
4 体育における学習論の転回
5 青木眞の「関係論」
6 松田恵示の「かかわり論」
7 細江文利の「関わり合い学習」
8 「楽しい体育」論を超えて
第2章 体育における対話的学びのデザイン
1 はじめに
2 「体育における対話的学び」の三つの次元
3 「体育における対話的学び」の授業デザインの手順
4 おわりに
第3章 体育における対話的学びの実践
1 「運動の中心的なおもしろさ」からデザインする
――小学校 マット遊び、マット運動の実践
(1)「運動の中心的なおもしろさ」という視点/(2)G ボールと一緒に転がろう
(3)すっと立てるかな/(4)からだとの対話/(5)おわりに
(6)実践報告へのコメント
2 「運動の中心的なおもしろさ」に迫る学び
――中学校第3学年 長縄跳び運動、跳び箱運動の実践
(1)長縄跳び運動(ダブルダッチ)の実践/(2)跳び箱運動の実践
(3)体育における学びの三位一体/(4)実践報告へのコメント
3 質の高い学びをデザインする
――小学校第6学年 素早い往復走の実践
(1)素早い往復走の実践/(2)素早い往復走における質の高まり
(3)実践報告へのコメント
4 質の高い学びを保障する教師のかかわり
――小学校第6学年 跳び箱運動の実践
(1)跳び箱運動の授業実践/(2)学び合いを生み出す教師のかかわり
(3)実践報告へのコメント
5 安心と没頭を生み出す学びをデザインする
――中学校第3学年 短距離走・リレーの実践
(1)学びの共同体の理念に基づいたリレーの授業デザイン/(2)授業実践を振り返って
(3)実践報告へのコメント
6 安心と没頭を生み出す教師の位置取り
――小学校第6学年 ネット型(ソフトバレーボール)の実践
(1)ネット型(ソフトバレーボール)の実践/(2)総合的考察
(3)実践報告へのコメント
7 男女共習によって引き出される学び
――中学校第3学年 ネット型(バレーボール)の実践
(1)ネット型(バレーボール)の授業デザインと授業における出来事
(2)男女共習によって引き出される学び/(3)実践報告へのコメント
(4)実践報告へのコメント
第 II 部 体育における対話的学びを探究する
第1章 協同的学びにおける運動技能の発達過程
──小型ハードル走の実践から
1 はじめに
2 学びのデザイン
3 授業概要
4 学びの実際
5 小型ハードル走における学び
6 運動技能の発達過程
7 おわりに
第2章 真正な学びにおける「わざ(身体技法)」の形成過程
──短距離走・リレー(2×15mリレー)の実践から
1 はじめに
2 学びのデザインと授業概要及び形成的授業評価
(1)学びのデザイン/(2)授業概要/(3)形成的授業評価
3 学びの実際と考察――エピソード記述による質的アプローチ
(1)事例1/(2)事例2/(3)事例3/(4)事例4
4 学びの実際と考察――DLT 法による量的アプローチ
5 学びの総合的考察
6 おわりに
第3章 体育における「聴き合い」としての学び
──ボール運動・ゴール型の実践から
1 はじめに
2 「聴き合い」としての学び
3 体育における「聴き合い」としての学び
4 「学び」を深めるペアサッカーの授業デザイン
5 授業の実際――言語活動に視点を当てて
6 授業の省察
7 授業者の振り返り
8 体育における「聴き合い」としての学びのデザインの視点
第4章 体育におけるエピソード記述の描き方
──出来事で学びをリフレクションする
1 はじめに
2 エピソード記述とは何か
3 なぜエピソード記述なのか
4 エピソード記述が「描けない」ということの意味
5 陥りがちなエピソード記述例
(1)エピソード記述例として取り上げる授業概要/(2)陥りやすいエピソード記述例
6 体育におけるエピソード記述の描き方
(1)エピソードを描くときの「地」のつくり方/(2)考察の視点
7 おわりに
●エピローグ――21世紀型の体育の学びへ
あとがき
初出一覧
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