食卓は警告する

食べものの心はいずこに

食卓は警告する
著者 井上勝六
ジャンル 書籍 > 保健・健康 > 健康一般・健康科学・健康文化
シリーズ <ビッグ・フレッシュ・トマト>
出版年月日 1990/11/02
ISBN 9784469261882
判型・ページ数 四六・224ページ
定価 1,431円(本体1,301円+税10%)

内容

食べものには「心の栄養」もあります

家族や仲間などと一緒に食卓を囲む共食は、人間らしい文化を育んできました。冷凍食品の普及をはじめとした急速な食の文明化の一方で忘れられがちな共食の伝統…。本書は日米の食卓を中心に、歴史的・文化的・医学的に見つめ直した、食卓からとる心の栄養に着目したユニークな食文化エッセイ。

目次

第1章 機能化したアメリカの食卓
 1.人気のシリアルに欠けたもの――女性の自立と食の文明化
 2.人間の家畜化――火無し料理が奪うもの
 3.台所革命で内でも外食――冷凍食品が知と技を低下させる
 4.ハンバーガーがアップルパイを追放――外食産業は花盛り

第2章 アメリカ人は何を食べてきたか
 1.大食の伝統――開拓を支えた高カロリー
 2.豆のある生活――人類を育てた豆と穀類
 3.トウモロコシがアメリカをつくった――健康のための豆の時代へ
 4.パンへのこだわり――人はパンのために生きてきた

第3章 インガルス家の食卓
 1.おやつは豚のしっぽ――家族総出で豚の解体
 2.かあさんのバターとケーキ――日々の豊かな暮らし
 3.チーズづくりに殺される子牛――生きることの残酷さ

第4章 家庭はオアシス
 1.良き仲間との良き食事――食卓は人々の交流の原点
 2.マフィアのオフクロの味――食卓がファミリーのかなめ
 3.天国は母親のかかとの下――母系社会の伝統
 4.家族写真とクレジットカード――家族の絆はいずこに
 5.焚火の魅力――マイホームへの回帰

第5章 日本の食卓から消えたもの
 1.引取り手のいなかった大豆――田舎の食もまた
 2.きれいな台所のおとし穴――システムキッチンの本質
 3.ラムとマトンとイヤリング――言葉は文化を伝える
 4.調理の手順もおいしさのうち――失われる食の感性
 5.病院の豆腐はクリーム状――おいしさの環境
 6.旅先で出会った我が家の味――食べる人を考えた料理
 7.紳士の犬食い――食べ方の美学

第6章 1つ皿で手と手を交えた仲
 1.鯛も1人は旨からず――失われる共食
 2.メディアとしての飲食物――神人共食から一杯のお茶まで
 3.聖なる宴と俗なる宴――歓び、悲しみの食卓
 4.ペルシャワールのナツメ――同じ釜の飯を食う
 5.宴席が大事を左右した――パンを分けあう仲間たち

第7章 なぜ共食するか
 1.食と性には対面が欠かせない――コミュニケーションとしての性
 2.心臓音の記憶――未熟で生まれるヒトの子供
 3.子どもが火をつける母性愛――母子は一心同体
 4.心の栄養になる母の乳――口を通して心が育つ
 5.目玉の不思議――魂の形は丸い
 6.食事とは人を良くすること――食べものには心の栄養もある

第8章 父親のいる食卓
 1.誰にもまねられない食卓――きょうの料理はきのうの続き
 2.弁当は時空を越える――給食には生活の匂いが薄い
 3.シェフの料理よりシュフの料理――家庭料理の真心
 4.夢をつけて食べるパン――オフクロの味はソウルフード
 5.夫婦仲良く三度食う飯――男の自立と協力
 6.おとうさんのビーフシチュー――台所を創造の場へ

ジャンル