武道論

武道論
著者 富木謙治
志々田文明 解題
ジャンル 書籍 > スポーツ技術・トレーニング・コーチング > 武道
出版年月日 1991/11/10
ISBN 9784469262155
判型・ページ数 A5・306ページ
定価 2,530円(本体2,300円+税10%)

内容

いま、武道が問われている!

近年、武道をめぐる環境は大きく変わった。いま、まさに、日本の伝統的文化といわれる武道とは、どのような価値を持つ文化なのか、が問われる時代となったのである。教育の場における武道の必要性、戦前・戦中と現在の武道の違い、武道の国際化の必要性など、国際社会における日本武道の役割を明らかにする。

目次

本書の刊行にあたって

序章 武道とは何か

1 日本武道の独自性
 (1)緒言
 (2)武道の本質―殺傷性と無限定性―
 (3)練習法について―守・破・離―
 (4)現代武道の在り方―「競技」と「形」―
 (5)武道の理想―「和」の武道ということ―
 (6)「無構え」から「無心」へ―現代武道の教育理念として―
2 日本武道の本質
 (1)武力と暴力
 (2)「わざ」より「みち」へ―克己内省の「道」―
 (3)古流武術の競技化―「勝負の場」を「教育の場」とする―
 (4)生涯体育としての武道―「競技」と「形」の練習法―
 (5)まとめ

I章 武道の現代化とは・・・伝統と近代の調和

1 伝統の武道と現代の体育
2 武道と体育思想
 (1)武道の語義
 (2)必勝の信念でつらぬいた生活
 (3)武道と宗教
 (4)武道とスポーツとの対立
 (5)武道のスポーツ化に対する二つの反論
3 武道の技術の変遷―古い武道から新しい武道へ―
 (1)まえがき
 (2)民主的倫理観
 (3)技術が分化される
 (4)技術を鈍化する
 (5)技術を様式化する
 (6)新時代の武道
4 形(フォーム)の研究
 (1)まえがき
 (2)形(フォーム)の意義と性格
 (3)形と技法
 (4)形と「力」「気」「心」
 (5)「形」の練習と「乱取」の練習
5 武道の現代化―その意義と方法について―
 (1)「実戦の場」から「競技の場」へ
 (2)倫理性と宗教性について
 (3)古流の「形」と現代の「競技」
6 流派武道と競技武道―家元制武道の現代化について―
 (1)緒言
 (2)武道の語義
 (3)武道における精神修養
 (4)武道の「わざ」の本質
 (5)秘法としての武道から体育文化としての武道へ
 (6)武道はスポーツか
 (7)武道の競技化にともなう問題点
7 学校武道の在り方―新しい鍛錬主義の体育として―
 (1)体育における娯楽主義と鍛錬主義
 (2)新しい鍛錬主義の体育
 (3)新しい武道の「勝負観」

II章 柔道とは何か・・・「わざ」から「みち」へ

1 柔道における「自然体」の理論的解明
 (1)緒言
 (2)「行」の教育としての柔道
 (3)人間の本質
 (4)人間の尊厳
 (5)「自然体」のかたち
 (6)「自然体」の主動性
 (7)「自然体」のはたらき―「眼」「足」―
 (8)「自然体」のはたらき―「手」―
 (9)「自然体」のはたらき―「構え」
 (10)「自然体」のはたらき―「わざ」―
2 古流柔術の「わざ」の分類と練習法
 (1)柔術とは何か
 (2)「わざ」の分類
 (3)「わざ」の練習法
3 武道の現代化に貢献した講道館柔道とその技術的発展
 (1)はじめに
 (2)古い武道の本質
 (3)流派武道から競技武道へ
 (4)柔術の技術構成と柔道の技術構成
 (5)柔道原理による古流の「わざ」の解明
 (6)「乱取法」の功績と将来への技術的発展―第二乱取法の制定について―
4 柔道と禅
 (1)まえがき
 (2)禅文化としての柔術
 (3)柔術から柔道へ
 (4)「柔道原理」とは何か
 (5)「柔道原理」と「剣道原理」
5 「みち」としての柔道―嘉納師範の遺訓を中心として―
 (1)嘉納師範の遺訓
 (2)新しい「和」の武道として
 (3)「わざ」より「みち」へ
 (4)「みち」についての師範の講演
6 柔道の本質―嘉納師範の柔道観とその実践―
 (1)緒言
 (2)古流柔術の近代化
 (3)柔道の独自性
 (4)護身性の技術修行
 (5)柔術の技術構成
 (6)柔道の本質とその練習

III章 合気道の近代化・・・合気道競技の創造

1 「武術私見」―中里介山への書簡―
2 現代体育としての合気道競技
 (1)まえがき
 (2)武道の競技化ということ
 (3)武道における「術」と「道」
 (4)武道教育の特質
 (5)古流柔術の近代化からとりのこされた半面
 (6)古流柔術の「わざ」の多様性とその競技化
 (7)「合気乱取法」の内容
 (8)「形」の練習と「乱取―試合」の練習
 (9)合気道競技の体育学的価値
 (10)あとがき
3 合気道競技について―「当身技」「関節技」の練習体系―
 (1)まえがき
 (2)武道の特性と柔術の練習法
 (3)柔術の変遷とその近代化
 (4)「形」で習った「わざ」は「乱取」で生かされる
 (5) 柔術は二つの「乱取」練習法を要する
 (6)「合気道競技」の練習コース
4 合気道の過去・現在・将来―創部20周年を祝して―

終章 教育愛と体育

1 新制大学と体育
2 人間形成と教育
3 教育愛について
4 教育としての体育の重要性

解説 武道と富木謙治
 〔I〕富木謙治と武道
 〔II〕国際化社会と武道論
 〔III〕富木武道論の特色

●富木謙治年譜
●富木謙治著作目録

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