内容
マイネルのスポーツ運動学の実践論!
「運動学」は現場実践の要求や問題から生まれたもので、それをさらに高い段階に引き上げるための理論である。スポーツ運動は複雑な現象であるため、それを教育実践に生かすには、生物学・力学などの個別諸科学から得た認識を統合・補充しなければならない。マイネルは、真に体育の授業やトレーニングの方法に役立つ新しい指導の科学を公にし、世界の体育・スポーツ界に大きな影響を与えた。
目次
第1章 実践経験と理論的認識の対象としての人間の運動
1 運動問題の発展
1)運動発達にとっての人間の労働と言語の意義
2)身体修練と体育の貢献
3)18、19世紀の体育における運動問題
4)20世紀における運動問題
5)運動学に対する要望と課題
2 運動研究の歴史
1)19世紀における人間の歩行の研究
2)20世紀における運動研究
3)運動研究の障害になる二元論的基礎認識
4)高次神経活動の生理学
5)歴史的・社会的研究の課題
6)スポーツ教育学の貢献
第2章 運動学の対象領域、考察法とその課題ならびに研究法
1 運動学の対象領域
1)人間運動系、労働運動系、スポーツ運動系、表現運動系
2)スポーツ運動系
3)スポーツ運動系の体系論問題
4)行為としてのスポーツ運動
5)対象領域の詳細な規定
2 考察の方法
1)歴史的・社会的考察法
2)モルフォロギー的考察法
3)解剖学的・生理学的考察法
4)心理学的考察法
5)バイオメカニックス的考察法
6)各考察法の相互関係
7)スポーツ指導者の貢献
3 運動研究の方法と手段
1)関連する個別諸科学の研究方法
2)運動モルフォロギーの研究方法と手段
4 運動学の問題領域
1)スポーツの運動経過のもっともよい遂行における本質的徴表の明示
2)スポーツの運動形態の分類と体系化
3)スポーツ活動の視点に基づいた個人生活の経過における運動発達の研究
4)運動系の学習の特性
5)人類的視点に基づいたスポーツ技術やスポーツ運動系の史的発展の研究
6)運動観察の訓練
7)教育実践のなかで獲得された運動系の知識の利用
第3章 スポーツ運動系における質
1 緒論
1)運動記述
2)カテゴリーによる把握
3)スポーツ運動系の諸原理
2 スポーツの運動経過における本質的諸徴表(諸カテゴリー)
1)運動の局面構造
2)運動リズム(力動・時間的分類)
3)運動伝道
4)流動
5)運動の弾性
6)運動の先取り
7)運動の正確さ
8)運動の調和
3 スポーツ運動系の諸原理
1)合目的性の原理
2)経済性の原理
4 若干の運動系基本概念の開設
1)運動の協調
2)Gewandtheit と Geschicklichkeit
3)技術と様式
第4章 誕生時から老年に至る運動発達の展望
1 人間の発達過程における運動発達の意義
1)教育の手段としての運動系
2)健康維持の手段としての運動系
3)身体労働、防衛、芸術政策の手段としての運動系
4)意志疎通の手段としての運動系
5)認識獲得の手段としての運動得系
2 誕生時の運動系能力
1)運動系の表現型
2)生理学的説明
3)運動系の未熟の意義
3 ゼロ歳における運動発達
1)発達過程の一般問題
2)把握の発達
3)立ち上がるまでの過程
4)移動運動の発達
5)ゼロ歳の運動系発達は何を規定にされるか?
6)結語
7)まとめ
4 幼児期と園児期における運動発達(就学前の時期、1~5歳)
1)一般的発達過程
2)スポーツ運動系における個々の基本形態の発達
3)運動組合せの発達
4)教育学上の結語
5)まとめ
5 小学校低学年の運動発達(6~8歳)
1)運動系の発達の一般的特性
2)個々の基本形態の発達と新しい諸能力の獲得
3)小学校低学年における運動系の発達を左右する諸要因
4)教育学上の結語
5)まとめ
6 少年少女時代の最適学習期(9~11、12歳)
1)運動系の一般的特性
2)身体発達の影響
3)“即座の収録”
4)時期を得た専門化
5)教育学上の結語
6)まとめ
7 性的成熟期における運動発達(11~12歳から15~17歳)
1)発達過程の一般的特性
2)障害の低下と実体は何か
3)性的成熟の第2段階における諸障害の除去
4)成熟過程と運動系へのその影響
5)発達の変動幅
6)身体活動の成熟現象過程への影響
7)教育学上の結語
8)まとめ
8 男子青年期の運動系
1)一般的特性
2)男子青年期における運動系の環界制約
3)教育学上の結語
4)まとめ
9 女性の運動系
1)男性の運動系との差
2)母親になることと更年期の影響
3)教育学上の結語
まとめ
10 老年期の運動系
第5章 運動系の学習
1 運動系における学習の概念
2 運動系の学習の一般的前提と条件
1)運動衝動と活動衝動―学習レディネス
2)機能成熟と運動経験
3)感覚の機能性
4)運動課題の把握
5)対象関与性と抵抗体験
6)言語の所有
7)人間の社会
8)成功体験
3 運動系における学習の位相
1)[位相A]粗形態における基礎経過の獲得:運動の粗形態
2)[位相B]修正、洗練、分化:運動の精強調
3)[位相C]定着と変化条件への適応:運動の安定化
4)熟練による負担の軽減
4 運動系の学習の複合性
展望