「書ける」大学生に育てる

AO入試現場からの提言

内容

入試「小論文」の限界に大学は気づいている

AO入試の最前線に立ってきた著者が、豊富な経験とデータをもとに現状の「小論文」「志望理由書」、高校の「書く」指導について問題のありかを探り、本当の意味での「書く」力を養うための、これからの展望を示す。「書く」ことにかかわる高校国語教員・進路指導教員・「高大接続」関係者は必読の書である。

目次

はじめに

第1章 「書くこと」に苦慮する大学生

第1節 大学初年次生に求められる「書く力」とは
1 書かない「国語」の授業
2 大学教員の認識と対応
3 大学の取り組み
4 読み書き指導の出発点を探る
第2節 大学初年次生の語彙力
1 「桜(さくら)」という語は?
2 語彙力を調査する――「理解する力」と「適切に使う力」
  (1)調査の概要
  (2)調査の結果
3 言語運用に対する意識

第2章 大学入試における「書くこと」の実態と課題

第1節 文章表現を課す大学入試と高校生の学習経験
1 大学入試と高校「国語」
2 高校で経験した文章表現の学習に関する調査
  (1)調査の概要
  (2)調査の結果
  (3)調査を通じて
3 高校「国語」における文章表現の位置づけ
  (1)カリキュラム
  (2)「国語総合」のこれまで
  (3)「国語表現 I ・ II」のこれまで
  (4)高大双方で取り組むべき課題
第2節 大学入試「小論文」の10年――出題傾向の移り変わり
1 「小論文」とは何か
2 「小論文」の学習
  (1)高等学校における取り組み
  (2)「小論文」入試への対策
  (3)「小論文」入試問題の分析
  (4)変わりゆく大学入試「小論文」
第3節 「小論文模試」小史――出版社2社へのインタビュー
1 大学と高校の狭間で
2 A社へのインタビュー
3 B社へのインタビュー
4 インタビューを終えて

第3章 AO入試「志望理由書」はどう書かれ、どう読まれるか

第1節 選抜ツールとしての実態と限界
1 選抜ツールとしての定着
2 画一化・定型化の問題
3 「志望理由書」の内容と構成を調べる
  (1)書かれた背景
  (2)調査の手順
  (3)調査の結果
  (4)よりよい相互伝達のために
第2節 学習材としての可能性
1 もう一つの価値
2 合格者はどのように文章を書いてきたか
  (1)高校「国語」における文章表現の経験
  (2)「志望理由書」の執筆過程
3 「志望理由書」を課すことの意義

第4章 これからの「書くこと」の指導と大学入試

第1節 高校教育課程が目指すもの
1 大規模調査の結果から
  (1)教育課程実施状況調査
  (2)PISA 調査
  (3)全国学力・学習状況調査
2 新学習指導要領の「書くこと」
  (1)指導事項の体系
  (2)「国語総合」における評価
第2節 大学の教育プログラムに見る「書くこと」の指導
1 求められる言語活動の充実
2 高校との円滑な接続
3 新しい「教養教育」として
4 「専門教育」のトレーニングとして
5 「キャリア教育」の一環として
第3節 大学入試「国語」の課題
1 大学生に求められる学力
2 大学入試で測られる学力
3 高校「国語」が養う学力との関係
4 「高大接続」と「国語」
  (1)近年の入試改革
  (2)新しい入試が測る「国語」の学力

参考文献
あとがき
初出一覧

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