チョムスキー理論は言語学に革命を引き起こしたのにとどまらず、心理学、哲学等々に多大なインパクトを及ぼした。本書では、こうしたチョムスキー理論の深化発展の跡をたどり、基本概念を整理し、反戦家としての一面など、その人間像も探った。第一線の研究者を動員して、20世紀の知的巨人の全貌を浮き彫りにしたハンドブック。

I 人間チョムスキー
　１ペンシルバニア時代
　２ジュニア・フェロー時代
　３生成文法理論の発展
　４素顔のチョムスキー

II チョムスキー理論の方法論的背景
　１ポスト実証主義
　２経験科学としての言語学
　３合理論
　４アブダクション
　５洗練された反証主義
　６実在主義

III チョムスキー理論の目指すもの
　１２つの「なぜ？」
　２言語能力と言語運用
　３個別文法
　４普遍文法

IV チョムスキー理論の現状
　１はじめに
　２ＧＢ理論の概要
　３ＧＢ理論と言語習得

V チョムスキー理論と英文法
　１ＧＢ理論の特色
　２英語の句構造規則
　３受身文
　４繰り上げ構文
　５外置構文
　６存在文
　７wh疑問文
　８関係節、話題文、ほか
　９再帰代名詞、相互代名詞
　10代名詞
　11VP補文
　12変形規則の統廃合
　13まとめ

VI チョムスキー理論を遡る
　１統語論と意味論
　２音韻論

VII チョムスキーと言語学界
　１構造主義言語学からの脱皮
　２生成意味論
　３格文法
　４久野の機能文法
　５関係文法
　６語彙機能文法
　７モンタギュー文法
　８一般化句構造文法
　９方法論上の批判者たち

VIII チョムスキーのインパクト
　１チョムスキー理論と関係領域
　２チョムスキー理論の地域的波及

IX チョムスキーと政治
　１政治とのかかわりかた
　２チョムスキー出現の時代背景
　３政治的発言
　４政治の体系的研究
　５反体制勢力への確信

X チョムスキー理論の成果と展望
　１はじめに
　２句構造規則
　３ＧＢ理論の性格
　４変形
　５まとめ

付録・チョムスキーの足跡
　１年譜
　２著作一覧
　参考文献
　索引

コラム
　チョムスキーと冗談／演壇上のチョムスキー（その１）／演壇上のチョムスキー（その２）／チョムスキーと発音