ヒトはいかにしてことばを獲得したか

内容

ことばの誕生、進化

サルからヒトへの進化の過程で、ことばはどのようにして誕生したのか? 発達過程で子どもたちはどのようにしてことばを身につけるのか? これら言語研究のコアとなる難題について、サル学、子ども学のエキスパートである生物学者と脳とこころとの関係からことばを研究してきた認知科学者が検討を加える。

目次

はじめに


第1章 生物の進化からことばの起源を探る


(1)サル学からわかること
サル学事始め/リスザルに見る会話の原型

(2)言語と遺伝子
FOXP2の発見/言語関連遺伝子/言語関連遺伝子をとらえなおす

(3)脳と言語
ミラーニューロンの発見/自己・他者の認識と共感・模倣、そして言語

(4)身振りと音声
身振りとコミュニケーション/言語の起源は身振りか音声か

(5)段階的な進化
脳からみたことばの起源

(6)相互作用の精密化
テナガザルのデュエット/歌と言語

(7)展望


第2章 ヒトの行動・認知・発達とことばの関係


(1)ヒトの言語能力の成り立ち
子どものことばの発達と音声情報の関係を考える

(2)模倣から共感へ
子どもの模倣の仕組みを考える/模倣における養育者の存在とは

(3)子どものことばの習得と養育者の関係
マザリーズとは

(4)心の発達と社会的な認知
心の理論とジョイントアテンション(共同注意)/心の働きと脳のイメージング

(5)障害からわかること
ウィリアムズ症候群/ウィリアムズ症候群とワーキングメモリ/ウィリアムズ症候群の子どもの発達過程からみた意味の習得

(6)手話
手話とは何か/手話の習得/手話のマザリーズ/ワーキングメモリと視覚/手話の言語処理/手話の失語症


第3章 ことばの変化


(1)社会生活とことば
言語変種と言語行動の変化

(2)コミュニケーションの変化
インターネット上のコミュニケーションの多様性と言語学/言語形式の変化


第4章 ことばの科学に求められるものとは何か


(1)理論言語学の場合
理論と事象の溝を埋めるためには何が必要か

(2)言語行動分析の場合
法言語学/マザリーズ再び

(3)言語習得論の場合
子どもがことばを獲得するために必要な能力とは

(4)展望
コミュニケーションという文脈で何ができるのか


主要参考・引用文献
事項索引
人名索引

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