実践ロジカル・シンキング入門

日本語論理トレーニング

内容

論理とレトリックが「日本語力」を鍛える

わかりやすく説明したい、説得力のある話し方をしたい。そのためにどうしても必要な「論理的な思考力」と「レトリックの感覚」にみがきをかけるための本。本書は豊富な例題と練習問題にチャレンジしながら「日本語力」をブラッシュアップさせる。

目次

はじめに

1 推論のトレーニング――論理学から

1-1 論理的に考えるための基本
「パソコンの電源を入れる、ならばパソコンが起動する」―この推論は問題がある。なぜか。曖昧な領域を認めず、すべてのものを「真か偽か」に二分する、シンプルかつ強力な論理学的思考のエッセンスを紹介する。
 1-1-1 推理の第1歩
 1-1-2 搦め手からの推論
 1-1-3 妥当な推論のメリット
 1-1-4 推理規則と論理記号
 1-1-5 論理学のめざすもの
 1-1-6 命題とはなにか
 1-1-7 否定記号(¬)の働き
 1-1-8 連言記号(∧)の働き
 1-1-9 選言記号(∨)の働き
 1-1-10 条件記号(⊃)の働き

1-2 論理学と日常言語の落差
「勉強しなかった、そして試験に落ちた」「試験に落ちた、そして勉強しなかった」―日常言語では意味が異なる文も、真偽だけを問題にする論理学ではまったく同じものとして扱われる。「ない」「そして」「ならば」などの用法を比べながら、論理学と日常言語との違いを明らかにする。
 1-2-1 連言記号と「そして」
 1-2-2 選言記号と「または」
 1-2-3 否定の注意すべき用法―「部分」否定
 1-2-4 強い否定と弱い否定
 1-2-5 条件記号のパラドックス
 1-2-6 妥当な推論にこだわる理由
 1-2-7 必要条件と十分条件
 1-2-8 逆も真なり―双条件文

1-3 推論の実際
「風が吹けば(前提)桶屋が儲かる(結論)」―前提と結論の「橋渡し」をするのが推論。ここでは三段論法などの重要な推論のメカニズムを解き明かし、日常生活で正しく運用する方法を伝授する。
 1-3-1 健全な推論と反例
 1-3-2 選言判断
 1-3-3 三段論法とはなにか
 1-3-4 正しい三段論法の見分け方
 1-3-5 対当推理と反論
 1-3-6 三段論法の落とし穴

2 論証のトレーニング――レトリックから

2-1 立論と反論
論理学の世界とは違って、日常生活では「曖昧さ」が支配している。では、そんななかで説得力をもった主張を展開するためにはどうすればよいのか。
 2-1-1 議論と説得
 2-1-2 演繹推理と帰納推理
 2-1-3 通念とは

2-2 レトリック的推論
「心が乱れているならば服装が乱れる」―論理的でないのに通用している推論には、いくつかのタイプがある。こうした推論の問題点を知り、きちんと立論・反論できる力を身につけよう。
 2-2-1 直接的類似性に基づく推論―比較推理
 2-2-2 間接的類似性に基づく推論―類比推理
 2-2-3 「関連性」に基づく推論(1)―「逆」推理
 2-2-4 「関連性」に基づく推論(2)―「裏」推理
 2-2-5 「関連性」に基づく推論(3)―「換喩」的推理

3 論証と反論

3-1 論証の型
有効な論証にはいくつかのパターンがある。論理学とレトリックのエッセンスを盛り込んだ10のパターンを学び、説得力のある日本語を上手に使いこなそう。
 3-1-1 論証の無意識性とその効用
 3-1-2 論証のパターン

3-2 準論理的論証
「覚醒剤やめますか、それとも人間やめますか」―このコピーにあなたは反論できますか?ここでは論理学的な方法を使った論証のパターンを習得する。
 3-2-1 公平ー論証
 3-2-2 定義ー論証
 3-2-3 なおさら―論証
 3-2-4 非両立―論証――二者択一
 3-2-5 両刀論法
 3-2-6 背理法

3-3 事実的論証
論証をするときに注意したいのは、誤った例示や、無理な因果づけ・権威づけ、人身攻撃などだ。たとえば「パソコンを使っている学生の方が、使っていない学生よりも成績がよい。だから成績を良くしたいなら、パソコンを始めるべきだ」―この推論の誤りがわかるだろうか?
 3-3-1 例示―論証
 3-3-2 因果論―論証
 3-3-3 権威―論証
 3-3-4 人物―論証

4 誤謬推理と詭弁

某国の首脳の常套句「敵と戦わない者は敵に加担している」―このスローガンは正しいだろうか?問題のある推論の事例をしっかりと押さえて、誤った推論に惑わされないようにしよう。
 4-1 前提をめぐる事例
 4-2 選択肢に関わる事例
 4-3 論点をめぐる事例
 4-4 定義に関する事例
 4-5 推論形式に関わる事例
 4-6 帰納的評価に関する事例
 4-7 関連性に関する事例

あとがき
参考文献
索引

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