内容
言語学で読み解く「アリス」の世界
非誕生日の贈り物って何? “I see nobody on the road”は「『無人』が見えた」? 『アリス』の中で繰り広げられるハンプティー・ダンプティー、白のナイト、赤のクイーンらの不可思議な会話。今なお読者を魅了する、「アリス」のナンセンスの世界には、どんな意味があるのか?本書は、著者キャロルを古典論理学者としてとらえなおし、論理学、意味論、語用論的にアリスの世界を解読する。当時と現代との比較により、キャロルのナンセンスのもつ歴史的意味も浮かび上がってくる。
目次
【第1部 論理学】
第1章 古典論理学者としてのキャロル
1.1 認知科学の起こり
1.2 ハンプティー・ダンプティーの名辞論理学
1.3 アリストテレスの3段論法
1.4 キャロルのダイアグラムとヴェン図
1.5 キャロルの「アキレスと亀」論文:3段論法に潜む無限退行の落とし穴
1.6 2値論理
第2章 現代の記号論理学
2.1 命題論理学
2.2 真理条件
2.3 述語論理学
2.4 「主語・述語」の文法と論理
【第2部 意味論】
第3章 意味論者としてのキャロル
3.1 超素朴実在論:実体と属性の意味論
3.2 語義の必要十分条件
3.3 白のナイトと歌の名前
3.4 ジャバウォッキーの詩:第1種のナンセンス
3.5 懐中時計を持ったウサギ:第2種のナンセンス
3.6 赤のキングの夢:第3種のナンセンス
3.7 キャベツと王様:第4種のナンセンス
第4章 現代の意味論
4.1 名前には意味があるのか
4.2 ソシュールの構造主義
4.3 意味関係分析
4.4 成分分析
4.5 形式意味論と認知意味論
【第3部 語用論】
第5章 語用論者としてのキャロル
5.1 1日おきのジャム:文脈ということ
5.2 首はね論争:前提ということ
5.3 自分から話しかけてはいけない:社会の規則
第6章 現代の語用論
6.1 「外圧」でできた語用論
6.2 フェイス