生成言語学入門

生成言語学入門
著者 井上和子
原田かづ子
阿部泰明
ジャンル 書籍 > 言語・言語学 > 入門
大学テキスト > 言語学・コミュニケーション学 > 言語学
出版年月日 1999/04/10
ISBN 9784469212341
判型・ページ数 A5・320ページ
定価 2,530円(本体2,300円+税10%)

内容

生成文法の基本概念や提起されてきた問題の柱を解説した入門書

難解と思われがちな生成文法。本書では、生成文法論の言語学史上の位置づけ、基本概念の丁寧な解説のほか、生成文法論に欠かせない実証研究のひとつとして心理言語学の分野を紹介を行った。最近の生成文法理論を理解するための、日本語からの資料を使った格好の入門書。

目次

まえがき

第1章 ことばの研究

1.1 言語観の移り変わり
1.1.1 ヨーロッパにおける言語研究の源流
1.1.2 インドにおける言語研究
1.1.3 日本における言語観
1.1.4 規範主義の台頭
1.1.5 言語科学の成立
1.1.5.1 比較言語学/1.1.5.2 音声学の台頭/1.1.5.3 方言学/1.1.5.4 構造主義言語学/1.1.5.5 応用言語学/1.1.5.6 生成文法理論の登場

1.2 ことばを知っているということ

1.3 ことばの特徴
1.3.1 恣意性
1.3.2 分節性
1.3.2.1 不連続性/1.3.2.2 二重分節/1.3.2.3 分節性のひろがり
1.3.3 抽象性
1.3.3.1 抽象性と構造/1.3.3.2 構造の中の空所/1.3.3.3 構造間の関連/1.3.3.4 普遍的な句構造/1.3.3.5 文法関係(1.3.3.5.1 文法関係と格表示/1.3.3.5.2 文法関係の認識)/1.3.3.6 文法関係と意味役割
1.3.4 生産性と創造性
1.3.4.1 二重分節性と生産性/1.3.4.2 形態素レベルの生産性/1.3.4.3 統語構造の生産性/1.3.4.4 創造性

1.4 ことばの本質とその解明
1.4.1 言語能力と言語運用
1.4.2 言語獲得

1.5 ことばの普遍性と個別性

1.6 ことばと動物のコミュニケーション
1.6.1 ことばの特徴から見た動物のコミュニケーション
1.6.2 動物にことばが覚えられるか?

1.7 ことばの伝達機能
1.7.1 ことばの仕組みと伝達機能
1.7.1.1 命題/1.7.1.2 話し手の関与(1.7.1.2.1 モーダルの機能/1.7.1.2.2 遂行分析)/1.7.1.3 話し手と聞き手の関与―終助詞類
1.7.2 談話
1.7.2.1 談話と文構造

第2章 ことばの獲得

2.1 はじめに

2.2 言語獲得
2.2.1 言語獲得の普遍性
2.2.1.1 種における固有性と一様性を持つ/2.2.1.2 獲得の過程が同じである/2.2.1.3 獲得された言語は普遍的特性を持つ
2.2.2 言語獲得の迅速さと完璧さ
2.2.3 系統的訓練は必要か?
2.2.3.1 系統的な訓練あるいは教育を必要としない/2.2.3.2 模倣説/2.2.3.3 強化説
2.2.4 臨界期
2.3 言語獲得研究
2.3.1 言語獲得の前提条件
2.3.1.1 言語音と非言語音の区別/2.3.1.2 言語音の範疇的知覚
2.3.2 発達心理言語学
2.3.2.1 言語獲得の過程/2.3.2.2 言語入力/2.3.2.3 生得的特性(2.3.2.3.1 レベル順序付け制約/2.3.2.3.2 構造依存性)

2.4 言語理論と言語獲得
2.4.1 生成文法理論と言語獲得
2.4.2 PP理論と言語獲得過程
2.4.3 空主語パラメータの固定
2.4.3.1 空主語パラメータ/2.4.3.2 子どもの初期の言語における空主語現象/2.4.3.3 ハイァムズの評価
2.4.4 可能なパラメータの制限
2.4.4.1 パラメータ値の数に対する制限/2.4.4.2 子どもに与えられる言語入力からの制限/2.4.4.3 部分集合の条件による制限/2.4.4.4 語彙項目に結びつけられたパラメータ

第3章 音としてのことば

3.1 音声学
3.1.1 文字と音声
3.1.2 発音のメカニズム
3.1.3 音の分類
3.1.3.1 子音(3.1.3.1.1 阻害音/3.1.3.1.2 共鳴音/3.1.3.1.3 その他の二次的特徴)/3.1.3.2 母音
3.1.4 日本語の音
3.1.5 韻律現象
3.1.5.1 ピッチアクセント/3.1.5.2 イントネーション/3.1.5.3 リズム・音節・モーラ

3.2 音韻論
3.2.1 音声学と音韻論
3.2.2 最小対立の対
3.2.3 音素
3.2.4 辞書と音韻表示
3.2.5 音韻素性と音韻規則
3.2.5.1 音韻素性/3.2.5.2 音韻規制
3.2.6 日本語の音韻現象
3.2.6.1 異音交替/3.2.6.2 撥音・促音/3.2.6.3 動詞の活用/3.2.6.4 音節構造制約/3.2.6.5 ピッチアクセントに関わる音韻現象

第4章 語彙と辞書

4.1 文法の構造と辞書

4.2 語彙項目
4.2.1 形態素
4.2.1.1 形態素の定義/4.2.1.2 形態素の認定/4.2.1.3 形態素と単語
4.2.2 接辞
4.2.3 異形態
4.2.3.1 形態素と異形態/4.2.3.2 語彙的に条件づけられた異形態の使用/4.2.3.3 音声的に条件づけられた異形態の使用/4.2.3.4 構造的に条件づけられた異形態の使用
4.2.4 語彙範疇
4.2.5 述語の項構造
4.2.6 慣用句
4.2.7 辞書における記載

4.3 生産的部門
4.3.1 派生
4.3.1.1 接辞の付加/4.3.1.2 過程形態素
4.3.2 複合
4.3.2.1 同格複合語/4.3.2.2 自由複合と高速複合
4.3.3 その他の語形成の仕組み
4.3.3.1 短縮/4.3.2.2 混成/4.3.3.3 頭字語

第5章 文の仕組み

5.1 文法性の判断

5.2 句構造
5.2.1 構造的多義性
5.2.2 構造依存的な諸概念
5.2.3 樹形図
5.2.4 句構造の型
5.2.5 θ役割と範疇選択
5.2.6 統語論の要素
5.2.7 語順と主要部パラメータ

5.3 移動現象
5.3.1 繰り上げ規則と格の理論
5.3.2 受動文
5.3.3 日本語に特有な被害の受動文

5.4 名詞句の解釈
5.4.1 名詞句の解釈の様相
5.4.2 照応形
5.4.3 代名詞の解釈
5.4.4 指示表現の解釈

5.5 不可視的要素
5.5.1 ゼロ代名詞
5.5.2 同一名詞句主語
5.5.3 総称主語
5.5.4 不可視的要素の統語論上の役割

第6章 語の意味と文の意味

6.1 意味へのアプローチ

6.2 単語の意味
6.2.1 多義性
6.2.2 意味の姿
6.2.3 意味素性
6.2.4 意味関係
6.2.5 意味公準

6.3 文の意味
6.3.1 文の意味構造
6.3.2 統語論と論理形式
6.3.2.1 数量子の移動/6.3.2.2 数量子と作用域/6.3.2.3 否定と数量子/6.3.2.4 交差の現象
6.3.3 論理形式における名詞句の解釈
6.3.4 文の意味関係
6.3.4.1 修飾/6.3.4.2 含意と前提
6.3.5 情報の構造

参考文献
人名・事項索引

ジャンル