内容
効果的な英語教育の基盤として不可欠な日英語の対照研究を総覧して、英語教育関係者、日英語研究者の便に供し、さらに将来の研究の土台とすべく企画されたのが本講座である。内容は音韻論・文法論から社会学まで幅広く、興味深い具体的事実が十分に記述され、しかも有機的に編集されている。索引・参考書目完備。
目次
総 説・・・・・・・・・・・國廣哲彌
文型/動詞/副詞/副詞の語順/名詞/畳語複数/接辞複数/数量詞の位置/指示詞/おわりに
第1章 文構造の比較・・・・黒田成幸
I.語順
II.基本的文型
III.複文
第2章 動詞文型の比較・・・・・奥津敬一郎
I.自動詞文と他動詞文および格
II.自動詞文と他動詞文の対応
III.形容詞の自動詞化・他動詞化
IV.日本語の「ヲ」格と英語の目的語
V.移動自動詞と移動他動詞
VI.授与動詞文
VII.単他動詞文と複他動詞文
VIII.授受動詞文
IX.心理動詞文
X.格の代換
第3章 テンス、アスペクトの比較・・・・・中右 実
I.テンスとアスペクトの対応
1.はじめに
2.時指示としてのテンス
3.「・・・ない」「・・・ます」「・・・ません」
4.完了・未完了相指示のテンス
5.「・・・ている」のアスペクト的機能
II.副詞節構文
1.過去時制「た」の意味機能
2.現在時制「る」の意味機能
3.時の副詞との相関性
4.アスペクト的機能の含意するもの
5.「あとで」と「まえに」のアスペクト的対極性
6.「とき(に)」のアスペクト的中立性
7.時指示の接続詞に例外現象
8.副詞節が過去時制のとき
9.英語の副詞節におけるアスペクト
10.英語の特有性:時制の一致
III.知覚動詞構文
1.はじめに
2.単純現在形の場合
3.現在進行形の場合
4.単純過去形の場合
5.「音がする」「においがする」
6.英語における3つの形
7.「完結した活動」という含意
8.未完了相としてのはだか不定詞
9.はだか不定詞 vs.to 不定詞
10.受動態には to 不定詞
11.helpの場合:toの出没
12.現在分詞と過去分詞
IV.空間関係詞構文
1.空間関係詞
2.空間関係詞節
3.同時性の制約
4.単純現在形の場合
5.現在進行形の場合
6.過去時制の場合
第4章 文副詞の比較・・・・・中右 実
I.副詞の分類
1.分類の枠組み:命題とモダリティの峻別
2.命題内副詞と命題外副詞
II.価値判断の副詞
1.テンス、アスペクトの枠外
2.叙実的前提
3.瞬間的現在時の価値判断
4.To my regret ≠I regretted that
5.「主張的命題」説
6.作用域は命題内容
7.非制限的関係詞節との等価性
8.it is Adj.that...との等価性
9.複合モダリティ表現
III.主語指向の副詞
1.2つの主語副詞
2.価値判断の主観的叙述と客観的叙述
3.談話における応答
4.命題内否定とのかかわり
5.否定の作用域外とのかかわり
6.あいまいな副詞の意味合い
7.疑問文とのかかわり
8.様態の主語副詞は命題成分
IV.真偽判断の副詞
1.命題内否定とのかかわり
2.強意用法との対比
3.否定辞前置+主語・助動詞倒置
4.疑問文の作用域
5.付加疑問文との折り合い
6.真偽判断の肯定性
7.モダリティ成分の累積的効果
V.発話行為の副詞
1.発言様式の限定
2.様態の副詞との類似性
3.疑問文との共起性
4.談話における問題
5.遂行文との共起性
6.表現形式の多様性
第5章 名詞修飾部の比較・・・・・寺村秀夫
I.比較の前提
II.限定詞ないしそれに準ずる語類による名詞修飾
III.名詞――無格、有格――による名詞修飾
IV.形容詞による名詞修飾
V.動詞および節による名詞修飾
1.はじめに
2.内の関係による名詞修飾
3.外の関係による名詞修飾
編者補説
索引