内容
独創的意味論の展開
『数学の基礎』は数学と論理学の哲学にかんするウィトゲンシュタインの考察の集大成であり、『哲学的文法』第二部以来の主要テーマ「数とは何か」「数学とはどういう学問か」に答えていよいよ明確な反プラトニズムの立場をうちだしたものである。数とは、それに対応する仮定する必要のないものであること、数学とは、ある絶対的真理を発見するのではなくて問題処理の方式や規則を発明する学問に他ならないこと、等の主張を通じて、『哲学探究』に結実する独自の意味論のケース・スタディを試みた野心作である。