内容
『論理哲学論考』の崩壊過程
本書は、ウィトゲンシュタインがシュリックとヴァイスマインを相手に行った討論の記録である。「無矛盾性」「構文法」の問題を中心に、「無限」「倫理と宗教」など多岐にわたるテーマが縦横に論じられる。移行期の代表作『哲学的文法』に直結するこの討論は、『論理哲学的論考』の主題が崩壊していく過程をつぶさに示すものであり、書き下ろしの作品でないだけにかえって生き生きと、彼の肉声と予期せざる一面を伝えてくれる興味深い資料である。ほかに、倫理学の根本問題を諄々と説いた好篇「倫理学講話」を収める。