内容
学の常識への挑戦
『哲学的文法』の第二部は、「論理学と数学について」と題される。論理的推論、一般性、基数、数学の証明、回帰的定義等、こんにち、論理学・数学の分野で確固たる地位をえているかに見えるこれらの概念の哲学的意味を問いなおしたものである。執拗かつ徹底をきわめた吟味は、しばしばこれらの科学の存非を問うところにまでいたっている。はなはだ大胆率直に学問的常識に挑み、権威をものともしないこの攻撃にみちた論集は、異能の哲学者ウィトゲンシュタインの思考のスタイルをつぶさに示す重要な遺稿である。