コーチングバレーボール(基礎編)

内容

新時代のコーチング・バイブル!!

ジュニア・ユース期の選手をどんなに一生懸命指導したとしても、それが確かな理論に裏打ちされたものでなければ、かえって上達を妨げたり、間違った技術を習得したりする。その意味で、これまでの経験に頼る指導から脱却し、科学的根拠に基づくコーチングが追究されなければならない。本書は、バレーボールの指導に必要なコーチング理論、発育発達の科学、基本技術とその指導法、システムと戦術、ゲームマネジメントなどを体系的にまとめた、新時代のコーチング・バイブルである。

目次

はじめに
編集にあたって
バレーボール用語の定義と解説

第1章 バレーボールを理解する

1-1.バレーボールの誕生と発展の歴史
1.バレーボールの誕生
2.W・G・モーガンによる新しいスポーツの考案
3.「バレーボール」の名称誕生
4.初期のルール
5.世界への広がり
6.6人制の完成
7.FIVBの設立
8.オリンピック種目への道
9.日本におけるバレーボールの発展
10.戦術の変遷
11.日本におけるバレーボールの将来展望

1-2.バレーボールの特性
1.ゲームの特性
2.さまざまなバレーボール
9人制バレーボール/ビーチバレーボール/ソフトバレーボール/障がい者バレーボール
3.技術構造
アタック/ブロック/サーブ/パス/セット
4.体力要素
スポーツ種目と体力特性/バレーボールに求められる体力要素

1-3.バレーボール用語の変遷
1.バレーボール用語の成り立ち
2.戦術の変遷と用語の変化
スパイク/ブロック/サーブ/ノンスコアリングスキル/ポジション

1-4.バレーボールを取り巻く各種組織
1.日本バレーボール協会
歴史/組織/現状と課題
2.日本バレーボール協会傘下のさまざまな連盟
3.国際バレーボール連盟
4.学術団体:日本バレーボール学会

1-5.バレーボールに関する指導者養成制度
1.日本バレーボール協会公認指導者資格
公認講師/ソフトバレーボールリーダー/ソフトバレーボールマスターリーダー/準指導員/公認スポーツ指導者養成競技別講習会講師
2.日本体育協会公認指導者資格の種類
日本体育協会公認バレーボール指導員/日本体育協会公認バレーボール上級指導員/日本体育協会公認バレーボールコーチ/日本体育協会公認バレーボール上級コーチ/日本体育協会公認マスター認定指導者/その他日本体育協会公認資格
3.国際バレーボール連盟(FIVB)公認資格

第2章 バレーボールの基礎的コーチングを理解する

2-1.コーチングに必要な基本的態度
1.文部科学省の提言──新しい時代にふさわしいコーチング
コーチングとコーチ/次世代を担うコーチングのあり方/コーチングに必要な知識と技能/子供に対するコーチング
2.「グッドコーチに向けた『7つの提言』」
3.グッドプレイヤー・グッドコーチ
グッドプレイヤー像/グッドコーチ像
4.スポーツ指導者の倫理──倫理に反する行動や言動
人道に反する行為や暴力/その他の反社会的行為/倫理に反する指導者にならないために
5.スポーツの類別とその役割
学校体育・スポーツ/競技スポーツ/生涯スポーツ
6.バレーボール指導者の役割
学校体育・スポーツの指導者/競技スポーツの指導者/生涯スポーツの指導者

2-2.うまくなるための理論の理解──運動学習理論とコーチング、動機づけ理論
1.「コーチ」とは
2.「うまくなること」と運動学習の関係
3.運動学習理論の関連モデル
目標の提示による「動機づけ」/ゲームライクドリルの工夫/情報フィードバックの活用/反応回数の確保
4.運動学習理論を活かしたコーチングの実際
5.意欲を喚起する指導を考える
「型」の文化からの脱却/「禁止」と「奨励」のバランス感覚/怒るより褒めよう

2-3.チームマネジメントの基礎
1.チームの構成
2.チームの経営
3.チームの組織構造(バレーボールチームにおけるライン─スタッフ組織)
4.指導計画の立案
目標の設定/指導計画立案にあたっての留意事項/計画の種類
期間計画/チームの成長/PDCAサイクル

第3章 子供たちを理解する──バレーボールに必要な発育発達理論とトレーニング理論

3-1.体力面から子供を理解する
1.スキャモンの発育発達
2.発育発達と運動能力、体力との関係
3.発育発達とトレーニングとの関係
4.発育発達からみたトレーニングの指導
プレ・ゴールデンエイジ(5-8歳)/ゴールデンエイジ(9-12歳)/ポスト・ゴールデンエイジ(13-16歳)/インディペンデントエイジ(17歳~)

3-2.心理面から子供を理解する
1.子供の心理面の発育発達
2.運動経験と子供の成長
3.子供の心理面の発育発達と運動指導上の留意点
4.子供のモニタリング

3-3.フィジカル面の基礎的トレーニング理論
1.トレーニングの4つの原理
2.トレーニングの5つの原則
3.レジスタンストレーニングの導入
4.トレーニングの実際
体幹の安定性の強化に主眼をおいたトレーニング/動作の習得に主眼をおいたトレーニング/着地動作の習得に主眼をおいたトレーニング/体幹の強化に主眼をおいたトレーニング/チューブやミニバンドを用いたトレーニング/自重負荷によるトレーニング

3-4.メンタル面の基礎的トレーニング理論
1.メンタルトレーニングの発達基盤
2.メンタルトレーニングは競技力向上に役立つか
3.動機づけの相互作用モデル
4.内発的動機づけと最適な心理状態
5.フロー:内発的動機づけにおける特別な現象

第4章 バレーボールの医学と栄養

4-1.障害の発生機序とその部位
1.指のケガ
突き指
2.肩のケガ
肩関節痛/不安定肩(動揺肩)
3.腰のケガ
腰痛症/腰椎分離症
4.膝のケガ
オスグッド・シュラッター病/膝蓋骨脱臼・亜脱臼/半月板損傷/離断性骨軟骨損傷(炎)
5.足関節、足のケガ
足関節捻挫/有痛性外脛骨障害/足趾疲労骨折/足底と踵の痛み

4-2.障害の予防と救急処置──休養、テーピング等のコンディショニングを含む
1.ケガが起きたときの対応について
2.応急処置の方法(例:足関節外側靱帯損傷)
3.スポーツ障害の予防
膝の痛み/肩の痛み
4.水分補給
5.休養(睡眠)について

4-3.バレーボール選手に必要な栄養素とその摂取量、摂取法
1.ジュニア期における食の重要性
2.バレーボールの競技特性と食事
3.体と食べ物をつなぐ発想
骨/筋肉/血液/神経
4.日常の食、選手としての食
朝食/昼食/夕食/補食
5.食は栄養摂取だけが目的ではない

4-4.サプリメント活用の基礎知識
1.サプリメントとは?
2.サプリメントの分類
3.ジュニア期の選手とダイエタリーサプリメント
4.ジュニア期の選手とエルゴジェニックエイド
練習前・練習中の栄養補給はスポーツドリンクで/練習直後の栄養補給は「炭水化物」+「たんぱく質」

第5章 バレーボールに必要な基本技術とその練習法

5-1.基本技術の考え方

5-2.サーブ
1.サーブの目的
2.サーブの動作原理
3.フローターサーブの基本技術
4.フローターサーブの練習方法

5-3.レセプション
1.レセプションの目的
2.レセプションの動作原理
ヒット面の形成と上肢の使い方/目標方向への下肢の使い方/ボールの落下地点への移動/視線と姿勢の安定
3.レセプションの動作チェックポイント
4.レセプションの練習方法

5-4.セット
1.セットの目的
2.セットの動作原理
3.セットの基本技術
構え/セット姿勢
4.セッターに必要なメンタリティー
5.セッター育成の考え方
6.セッティングの練習方法
ステーショナリー練習/セッターを動かす練習/Go Against the Flow/組み合わせ例/ロングパス練習/ジャンプセットを取り入れる
7.オーバーハンドパスはバレーボールの生命線

5-5.スパイク
1.スパイクの目的
2.スパイクの動作原理
「跳ぶ」動作原理(助走つきジャンプ)/「打つ」動作原理
3.スパイクの練習方法

5-6.ブロック
1.ブロックの目的
2.ブロックの動作原理
3.ブロックの基本技術
構え/移動とジャンプ/腕の出し方と視線/複数枚で跳ぶ
4.ブロックの練習方法
低いネットでの練習①/低いネットでの練習②/台を使った練習/通常のネットでの練習
5.基本技術習得のための確認事項
6.ブロックのよい“バレー選手”をミドルブロッカーへ

5-7.ディグ
1.ディグの目的
2.ディグの動作原理
3.ディグの基本
ヒット面の形成/構えの位置どりおよび移動
4.ディグの練習方法
練習メニュー作成の考え方/ディグ練習の組み立て/ディグ練習例

第6章 戦術戦略の基礎──基本的ゲームマネジメント

6-1.チーム構成、スターティングポジション
1.チーム構成
2.ポジションの特性
3.スターティングポジション
4.その他の留意事項

6-2.戦術的にサーブを打つ
サーブの段階的指導/サーブの考え方/サーブの遂行過程/サーブの特性/サーブの分類/戦術例

6-3.レセプションフォーメーションとカバーリング
1.レセプションフォーメーションとは
2.基本的なレセプションフォーメーション
Wフォーメーション/Mフォーメーション(1-2-3システム)
3.目的や役割分担を明確にしたレセプションフォーメーション
Wフォーメーションの変形/相対的にレセプション能力が低い選手にレセプションをさせないフォーメーション/ファーストテンポの攻撃を重視したフォーメーション/バックアタック攻撃を重視したフォーメーション/レフトサイド(ライトサイド)からの攻撃が得意な選手がいる場合のフォーメーション/スパイクサーブに対するフォーメーション/リベロを中心としたフォーメーション
4.レセプションにおけるカバーリング(相互協力)
選手の動線からみたカバーリング/他の選手のレセプション後のカバーリング/フォーメーションにおける想定外のボールやサーブに対するカバーリング/ジャッジ(イン・アウトの判断)

6-4.アタックフォーメーションとカバーリング
1.アタックフォーメーションの考え方
2.攻撃の種類
コンタクト回数による攻撃の分類/セットの高さによる攻撃の分類
3.複数選手によるアタックフォーメーション
基本的なアタックフォーメーション/アタックフォーメーションの応用
4.アタックカバーフォーメーションとは
相手ブロックに対応したフォーメーション/自チームアタックミスに対応したアタックカバー

6-5.ブロックフォーメーション
1.ブロックフォーメーションとは
2.ブロックの目的
3.ブロックの反応の種類
4.ブロックフォーメーション(シフト)の種類
5.ブロックフィーメーション(シフト)の応用
6.サーブ前からブロック完了までの局面移行にリード・確認すべき内容

6-6.ディグフォーメーション
1.ディグフォーメーションとは
2.ベースポジションとリード(レディ)ポジション
3.ベースポジションの種類
前衛3選手がブロッカーとして配置できる場合/ブロッカーの人数が2人、もしくは1人の場合のベースポジション
4.リード(レディ)ポジションへの移行とフォーメーション(シフト)の種類
レフトサイドからの攻撃に対して/ライトサイドからの攻撃に対して/センターからの攻撃に対して
5.クイックと2段トス(ハイセット)に対するリード(レディ)ポジション
6.トータルディフェンスとしての考え方

6-7.基礎的ゲーム管理論──戦術を考えた選手交代、タイムアウトの取り方
レギュレーションを考える/自チームのメンバー構想について考える/相手チームのメンバー構想について考える/メンバーチェンジ構想/タイムアウト構想/ゲーム間におけるマネジメント

第7章 基本的なゲーム分析法

7-1.データ収集の基本的な考え方
1.バレーボールの競技特性およびゲーム構造を理解する
バレーボールの競技特性について/バレーボールのゲーム構造について
2.データ収集・分析の方法について
データ分析はなぜ必要か/目的によって分析方法は異なる/ゲーム分析の簡便な方法/プレイ局面と関連づけたパフォーマンスの分析
3.ゲーム分析に必要な基礎用語

7-2.ゲーム分析の実際
1.ゲーム分析におけるアナリストの役割
アナリスト活動の概略/アナリストの役割/情報収集/情報の分析/情報の伝達/分析項目
2.ソフトを用いたゲーム分析の実際
世界トップレベルのスタンダード「Data Volley」/Data Volleyを用いたゲーム分析の実際/高度情報化社会の中でのゲーム分析/無料でできるゲーム分析ツール

第8章 バレーボールの競技概要とルール

8-1.基本的なルールの考え方と審判法の基礎
1.基本的なルールの考え方
2.審判法の基礎
ルール適用の基本原則/審判技術/基本技術の習得/判定基準の確立

8-2.競技会の運営とその管理
1.大会概要の決定
2.準備
3.前日の準備
4.代表者会議
5.監督情報交換会
6.当日の運営
7.事後処理

付録 ゲーム分析の簡便な方法

1.数値による分析
2.チャート(図)記録による分析
3.データ活用の方法
初級:サーブとレセプションに関する分析/中級:サイドアウトに関する分析を加える/上級:ブレイクに関する分析を加える
4.ゲーム分析の注意点
データの量を減らし、質を高める/データは「生もの」である

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