「学び」の認知科学事典

「学び」の認知科学事典
著者 佐伯胖 監修
渡部信一
ジャンル 書籍 > 言語・言語学
辞典・事典 > 言語・言語学
大学テキスト > 日本語教育 > 日本語テキスト
出版年月日 2010/01/29
ISBN 9784469012828
判型・ページ数 四六・618ページ
その他の情報 上製
定価 本体3,600円+税

内容

「学び」の新たな方向性を探る

教育哲学、心理学、言語学、脳科学、学びの環境学などの、第一線で活躍中の34名の執筆陣が、私たちが現在直面している「学び」に関するさまざまな問題を解説した包括的な事典。各分野の重要概念・用語の解説も別途設けた。

目次

はじめに

序――「学び」探求の俯瞰図   渡部信一

I部――「学び」をどう考えるか
1章 学ぶことの二つの系譜   松下良平
 1.1 目標を必要とする学習
 1.2 生の更新のための学び
2章 「学び」に関する哲学的考察の系譜   今井康雄
 2.1 はじめに:学びについて哲学的に問うことの意味
 2.2 古代ギリシアの哲学的な学び論
 2.3 近代哲学における「学び」の位置
 2.4 現代哲学における「学び」の対象化
 2.5 まとめ
3章 江戸の学び   辻本雅史
 3.1 文字の学び
 3.2 儒学の学び
 3.3 「知的言語」の習得
 3.4 学びの身体性
4章 「ケアリング」としての「学び」   生田久美子
 4.1 「教育」における「ケア」
 4.2 「学ぶこと」と「知ること」
 4.3 強い意味での「知る」とは何か:教育において目指すべき「学び」
 4.4 もう一つの「学び」:言語主義的「知識」観から解き放たれて
 4.5 「ケアリング」としての「学び」
 4.6 まとめ:新たな「学び」のパラダイムの創出へ向けて
5章 学習の実験的領域―学習の社会理論のための覚書   福島真人
 5.1 社会的制度としての学習
 5.2 徒弟制という問題群
 5.3 「学習」の誕生
 5.4 徒弟制モデルの効用と限界
 5.5 学習の実験的領域
 5.6 おわりに

II部――子どもの「学び」
1章 生活での学び 学校での学び   浜田寿美男
 1.1 生き物としての人間の子どもが育つ舞台
 1.2 生活での学びと意味の脈略
 1.3 学校での学びと意味の反転
 1.4 学びの世界と希望
2章 遊びと学び   麻生武
 2.1 「遊び」とは何か
 2.2 「遊び」とは哺乳類の親の子に対する態度
 2.3 「遊ばれる」ことから「遊ぶ」ことへ
 2.4 「遊んでもらう」ことを通しての学び
 2.5 「遊んでもらう」ことから自らの「遊び」を通しての学びへ
3章 仲間関係のなかでの学び   無藤隆
 3.1 仲間関係の社会性発達への位置づけ
 3.2 乳児期における愛着関係の成立
 3.3 幼児初期における家族への広がり
 3.4 幼児後期における友人関係の成り立ち
 3.5 幼児から小学校低学年における集団内関係・同性集団
 3.6 思春期における親友関係
 3.7 文化への導き手としての大人の働き
 3.8 生涯にわたる学びと仲間関係
4章 模倣と「学び」   佐伯胖
 4.1 「誘発させれる」模倣
 4.2 行為意図の発見
 4.3 「模倣」という意図的行為
 4.4 「教え-学び」の文脈
 4.5 結論
5章 「学び」の発達―生きたことばは学びの世界を拓く   内田伸子
 5.1 人はいかに学ぶか
 5.2 一次的ことばから二次的ことば、そして三次的ことばへ
 5.3 理性の手段としてのことばの発達
 5.4 書くこと・考えること
 5.5 書くことによる自己の発見
6章 障害のある子どもの学び―自閉症スペクトラム障害を中心に   藤野博
 6.1 発達障害と学びの問題
 6.2 自閉症スペクトラム障害
 6.3 ASD児者への学びの支援
 6.4 自伝にみるASD者の学び
 6.5 ASDにおける新たな学び論への視座

III部――生涯を通した「学び」
1章 現代社会における大学生の学びとアイデンティティ形成   溝上慎一
 1.1 現代大学生の特徴は何か
 1.2 メリトクラシーからハイパー・メリトクラシーの社会へ
 1.3 学びとアイデンティティ形成
2章 大学の学習空間をデザインする   内山祐平
 2.1 大学の学習空間
 2.2 アクティブ・ラーニング・スタジオ
 2.3 ラーニングコモンズ
 2.4 コミュニケーション・スペース
3章 大人の学び─熟達化と市民リテラシー   楠見孝
 3.1 はじめに:大人の学習の特徴
 3.2 大人の学習の類型
 3.3 実践的知能と叡智の獲得
 3.4 仕事の暗黙知
 3.5 仕事の熟達化
 3.6 学習の態度と省察
 3.7 市民リテラシー
 3.8 批判的思考
 3.9 まとめ
4章 企業における学び   中原淳
 4.1 「企業における学び」の歴史
 4.2 企業の学びのパラダイム転換
 4.3 人は経験を通して学ぶ:経験学習
 4.4 ネットワークによる学び支援
 4.5 社外における学習(越境することによる学習)
 4.6 今後の研究課題
5章 老人の学び   権藤恭之
 5.1 高齢社会の現状
 5.2 高齢者にとっての学びの意味
 5.3 高齢者の学びの実態
 5.4 高齢者の学びの能力
 5.5 おわりに

IV部――「学び」のメカニズム
1章 学びの脳科学―神経心理学から   山鳥重
 1.1 脳についてのいくつかの基本的知識
 1.2 学習の基盤は記憶
 1.3 さまざまな認知能力
 1.4 「学び」とは「教えたいことを覚えさせること」ではない
2章 学習における力学系/身体性/意識   池上高志
 2.1 力学系と学習過程
 2.2 相互学習のダイナミクス
 2.3 会話における時間発展
 2.4 学習における身体性:センサーとモーターのコンティンジェンシー
 2.5 能動性・受動性
 2.6 学習における心の配置
3章 学びとワーキングメモリ   苧阪満里子・苧阪直行
 3.1 ワーキングメモリ
 3.2 バッドリーのワーキングメモリのモデル
 3.3 音韻ループと視覚・空間的スケッチパッド
 3.4 ワーキングメモリの個人差
 3.5 リーディングスパンテストと言語理解
 3.6 学習とワーキングメモリ
4章 言語の習得   辻幸夫
 4.1 人類と言語
 4.2 言語習得とは何か
 4.3 言語習得の基盤
 4.4 母語習得:語の習得
 4.5 母語習得:語の結びつきから文へ
 4.6 新しいことばと知識の創造
5章 動物の学び   川合伸幸
 5.1 動物の学習
 5.2 動物の学び
 5.3 「動物の学び」をうながす要因
 5.4 年齢と「学び」
 5.5 おわりに

V部――関係と状況の中での「学び」
1章 関係論的学び論―関係発達論の立場から   鯨岡峻
 1.1 人は周囲の人と共に生きる中で学ぶ
 1.2 学ぶ(まねぶ)ことの基本
 1.3 「育てる―育てられる」という関係
 1.4 子どもという存在の両義性(ambiguity):「ある」と「なる」
 1.5 大人による養護的対応(treatment of caring)の必要
 1.6 大人による教育的対応(treatment of educating)の必要
 1.7 「ある」から「なる」へ
 1.8 子どもにとって「なる」の目標は周囲の大人や仲間である
2章 文化・歴史学派(ヴィゴツキー学派)の理論とその展開   高木光太郎
 2.1 文化・歴史学派の形成
 2.2 文化・歴史理論の概要
 2.3 レオンチェフの活動理論
 2.4 欧米における文化・歴史理論の再評価と拡張
 2.5 おわりに
3章 生態学的学び―知覚と行為の相補的発展   三嶋博之・丸山慎
 3.1 学びにおける知覚の重要性
 3.2 「知覚学習」という学び
 3.3 知覚学習の根拠となる発達研究
 3.4 学習と発達のグランドセオリーに向けて
 3.5 生態学的な学びと、動物-社会-環境システムの進化
4章 学びの評価   松下佳代
 4.1 評価の新しいパラダイム
 4.2 学びの評価としてのパフォーマンス評価
 4.3 学校でのパフォーマンス評価
 4.4 パフォーマンス評価の今後
5章 協調的な学び   三宅なほみ
 5.1 はじめに:「協調的な学び」という考え方
 5.2 認知科学の歴史の中で
 5.3 協調的な認知プロセス
 5.4 協調的な学びを支援する:長期にわたる実践デザイン
 5.5 「協調的な学び」研究のこれから

VI部――「学び」とテクノロジー
1章 テクノロジー利用による学びの支援   大島律子・大島純
 1.1 学習環境を構築するための情報テクノロジー
 1.2 情報テクノロジーに期待される効果
 1.3 テクノロジーによる協調学習支援
 1.4 WISE:知識統合を支援するシステム
 1.5 Knowledge Forum:知識構築を支援するシステム
 1.6 おわりに
2章 学びと身体空間―メディアとしての身体から感性を読み解く   阪田真己子
 2.1 身体というメディア
 2.2 コミュニケーションのメカニズム
 2.3 身体動作のプロセス
 2.4 感性と感性情報
 2.5 身体動作と感性情報
 2.6 身体メディアからの感性情報の抽出
 2.7 身体空間と感性
 2.8 学びと身体空間
3章 認知ロボティクスにおける「学び」   小嶋秀樹
 3.1 なぜロボットなのか
 3.2 従来の学習観
 3.3 内発的動機づけ
 3.4 環境に応じる身体
 3.5 社会的インタラクション
 3.6 まとめ
4章 リソースの中に埋め込まれた学び―次世代ロボット創出プロジェクトの実践から   岡田美智男
 4.1 状況に埋め込まれた行為
 4.2 はじめて小学校に通う
 4.3 教室という「ハコ」の中で
 4.4 理工科系離れとモノ作り教育における課題
 4.5 「次世代ロボット創出プロジェクト」のコンセプト
 4.6 「次世代ロボット創出プロジェクト」の実際
 4.7 ネットワークは陰の主役
 4.8 教えながら学ぶ
 4.9 学びはリソースに埋め込まれている
 4.10 社会からの評価もリソースの一部である
5章 超デジタル時代における「学び」の探求   渡部信一
 5.1 デジタルから「学び」を探るプロジェクト
 5.2 デジタルの発展はアナログへ向かう
 5.3 「よいかげんな知」と「しみ込み型の学び」
 5.4 超デジタル時代の「学び」を探求する

あとがき   佐伯胖

参考文献
索引

ジャンル