漱石文学をやや軽んじて風俗小説だと呼んだ時期があった。しかし、それゆえにそれら風俗が雄弁に語りかける。漱石は多くの地名も書き込んだ。「地霊」という言葉があるが、漱石文学の登場人物たちはその地霊に導かれるようにして物語を生きたことがよくわかる。私たちにはそれを感じることができると、この本は教えてくれる。
今日、生徒にとってのさらには教師にとっての部活動「問題」が、積極的に語られている。本書が教えてくれるのは、「問題」だからといって部活動を学校教育から切り離すのではなく、その教育としての根源的な意義——自治としての部活動——を思い起こすことの重要性である。本書には、部活動の「これまで」から見えてくる、部活動の「これから」の可能性が詰まっている。
三人の「変者」が、三者三様の情熱で古今東西の小説を語ります。時間をかけて一つ一つ。実に身にこたえる仕事でした。一生は短く、小説を読むことの他にもやることはいろいろとある。それでも読みたい。語り合いたい。読書欲とは悪癖だろうかそれとも罪? 誰かの物語。でもどれもが、紛れもなく私自身の物語。
3000年を超える漢字の悠久の歴史をオーソドックスに捉えようとする時、この1冊は極めて有用である。豊富な図版と端的な解説は、歴代の漢字の使われ方、それに対する研究の状況を鮮やかに切り出す。それらは、一問一答では到達しえない豊饒な漢字文化の空間上の広がりを実感させるとともに、その奥底へと導いてくれるであろう。
新しいことばや気になることばの使い方、料理の作り方まで。明鏡くんは困ったときに頼りになる、フレンドリーなのにしっかりしたやつです! 最初に手に取る辞典としても最適。二冊目の辞典としても最適。一生付き合っていける友だちのような存在になります。私にはマストな相談相手です。
著作も写真も残さなかった西郷隆盛は、多くの歴史家、作家によって語りつがれてきたが、今も謎めいた存在だ。二度に渡る島流しの最中、過酷な環境で西郷は漢詩を作り始めた。命からがら後世に残すべき思いを見つけたのだろう。高い教養、無私の生き方、強い信念があらわれた西郷の漢詩は、読む者の心に感銘を与える。
子どものころ、四字熟語を使いこなせる大人にあこがれた。なにしろ呪文のような響きを持っている。しかも四つの漢字それぞれに意味があり、つながることで物語が生まれる。まるで魔法だ。『大修館四字熟語辞典』はページをめくって飽きることがない。知らなかったことばや誤解していたことばを見つけるたびに楽しくなる。
近代世界史において最重要の都市の一つ上海の、過去と現在をぎゅっと圧縮した驚くべき労作。しかも過去から現在への変遷が、地図と解説の両方において克明にたどられ、歴史の時間が地理のうえにヴィヴィッドかつ立体的に立ちあがってくる仕掛けが施されている。観光ガイドとしての有益性はもちろん、想像上の旅を愛好するアームチェア・トラベラーも、この本を伴侶に、長く豊かな愉悦の時間を満喫できるはず。
用例や解説から、編者の「ことわざ成句愛」に満ちた心の叫びが聞こえてくるようで、爆笑したり深くうなずいたりできる。しかも、まちがった形でことわざを覚えてしまっているひとのために、「誤用索引」までついた親切設計。この一冊があれば、華麗にことわざ成句を使いこなせます!
一週にひとつでよいから四字熟語をおぼえたらよい。一年がすぎれば五十ほどになる。四字熟語は小世界を形成していく。それを用いると表現の的確さが増し、しかも浸潤性がつよい。ただし意味もわからず暗記するのは苦痛であろう。田部井文雄氏の『四字熟語物語』はその苦痛を愉楽に変えてくれる。
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情報は随時更新していきます。
1918 | 9月10日、東京市神田区錦町に創業(創業者:鈴木一平) |
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1926 | 諸橋轍次先生に漢和辞典編纂を依頼 |
1943 | 『大漢和辞典』(諸橋轍次 著)全13巻の巻一を発行 |
1945 | 戦災に遭い、巻十三までの『大漢和辞典』組置原板・事務所など一切を焼失 |
1953 | 月刊雑誌『体育科教育』創刊 |
1955 | 月刊雑誌『英語教育』の発行権を研究社から譲り受ける 『大漢和辞典』全13巻の再刊準備成り、巻一を発行 ※昭和35年(1960)完結 |
1966 | 『基本古語辞典』(小西甚一 著)発行 ※新装版はこちら |
1972 | 月刊雑誌『言語』創刊 ※平成21年(2009)休刊 |
1978 | 『日本人の脳――脳の働きと東西の文化』(角田忠信 著)がベストセラーに |
1981 | 『ストレッチ体操』がベストセラーに |
1987 | 『漢語林』(鎌田正・米山寅太郎 著)発行 |
1988 | 『ジーニアス英和辞典』(小西友七 編集主幹)発行 ※最新版はこちら |
1990 | 『大漢和辞典 語彙索引』発行 |
1998 | 『ジーニアス和英辞典』(小西友七 編集主幹)発行 ※最新版はこちら |
2000 | 『大漢和辞典 補巻』(鎌田正・米山寅太郞 編)発行、全15巻完結 ※全15巻セットはこちら |
2001 | 『ジーニアス英和大辞典』(小西友七・南出康世 編集主幹)発行 |
2002 | 『明鏡国語辞典』(北原保雄 編)発行 ※最新版はこちら |
2005 | 『問題な日本語』シリーズがベストセラーに |
2010 | 文京区湯島に社屋移転 |
2011 | 『新漢語林 第二版』(鎌田正・米山寅太郎 著)発行 |
2016 | 『日本語シソーラス――類語検索辞典 第2版』(山口翼 著)発行 |
2017 | 『ジーニアス総合英語』(中邑光男・山岡憲史・柏野健次 編集主幹)発行 『新全訳古語辞典』(林巨樹・安藤千鶴子 編)発行 |
2018 | 『大漢和辞典 デジタル版』発行 |