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スポーツ科学はどんな学問か:スポーツ科学の構造
今日,スポーツ科学はめざましい発展を遂げつつあります。現在,スポーツ科学はスポーツ現象の拡大や他の学問領域の深まりや発展の影響を受けながら,図に示すように,多様な専門諸学から構成されるようになりました。

スポーツ科学の構造

次に,現時点でスポーツ科学を構成する代表的な専門学(discipline)について,簡単に触れてみたいと思います。

  1. スポーツ教育学
  2. 狭い意味では,学校体育や体育授業に直接かかわる領域であり,わが国では体育科教育学と言われるものです。広い意味では,学校段階だけではなく,学校や社会におけるスポーツ教育実践を教育学的に広く研究する領域です。

  3. スポーツ史学
  4. 文化的に発生,生成してきたスポーツやスポーツにかかわる諸現象を歴史的に研究する領域です。体育史もスポーツ史学に含まれます。

  5. スポーツ哲学
  6. スポーツと人間存在の関係を哲学的に究明する領域です。体育原理もスポーツ哲学に含まれます。

  7. スポーツ経営学
  8. スポーツを経営学的な方法を用いて研究する領域です。体育経営学もスポーツ経営学に含まれます。

  9. スポーツ社会学
  10. スポーツを社会学的な視点から実証的・客観的に研究する領域です。体育社会学もスポーツ社会学に含まれます。

  11. スポーツ心理学
  12. スポーツにかかわる心理学的問題を対象に,スポーツ実践や指導に関する心理学的基礎を提供する領域です。運動学習による発達研究も行われます。体育心理学もスポーツ心理学に含まれます。

  13. スポーツ運動学
  14. スポーツにおける人間の運動現象を解明する領域です。スポーツ運動学はその対象や方法が人間のスポーツ運動そのものに焦点づけられるために,スポーツ科学の中心的な領域であるとも考えられています。

  15. スポーツ医学
  16. スポーツや運動による生体の変化を医学的に究明する領域です。体力や健康にかかわる問題の解明や運動処方の研究も含まれます。

以上,スポーツ科学の領域を構成する代表的な専門学について,簡単に説明を加えました。

ところで,前にも述べましたが,今,スポーツは私たちの社会の中で多様に展開しています。このような現実のスポーツ現象の拡大とともに,スポーツ科学もその範囲を拡大し続けています。

たとえば,スポーツ産業の著しい発展とともにスポーツ産業学が立ち上がったり,また,スポーツ哲学の中にも,スポーツマンシップやスポーツ規範などの問題を倫理学的に究明するスポーツ倫理学が成立してきています。このような状況は,スポーツの人文・社会科学領域だけではなく,スポーツの自然科学領域でも同様で,スポーツ医学を例にとれば,応用的な臨床医学的側面だけではなく,基礎的研究であるスポーツ生理学やスポーツ解剖学,スポーツ免疫学等もスポーツ医学の下位専門学(subdiscipline)として位置づいています。

このようにスポーツ科学には,新しい専門学が生まれたり,あるいは,それぞれの専門学の中にも,多くの下位専門学が生まれてきています。

他方,現代のスポーツは,多様で複雑な多くの問題を生み出してきましたが,たとえば選手のドーピング(禁止薬物使用)のような問題に対しては,各専門学の中だけでは問題解決ができません。そこで,スポーツ倫理学やスポーツ医学の共同的な学際研究によってドーピングという問題に対処するようになります。

このように現代のスポーツ科学は,まさにスポーツ現象に現れる複雑な諸問題に対して,個別専門学の枠を超えて,学際的に対応しようとする総合科学としての性格を一層強めています。今もスポーツ科学は,日々,進化し発展し続けているのです。
(早稲田大学スポーツ科学部 友添秀則)

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