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スポーツ心理学
近年のスポーツ心理学で注目されているのは,スポーツ選手へのメンタルトレーニングでしょう。オリンピックなどのトップ選手からジュニアの選手に至るまで,日頃,練習してきた技術を本番でいかに発揮するかについて,心理的サポートをする仕事です。日本スポーツ心理学会は2000年から「スポーツメンタルトレーニング指導士」という資格認定制度を開始して,2007年8月末現在,37名の指導士と41名の指導士補がいます(スポーツ心理学会公式ホームページより)。

「将来メンタルトレーニングの仕事をしたいのですが,どんな大学に行き,どういう条件が必要ですか」といった質問が高校生などからよくきています。スポーツ選手への心理的サポートができるようになるためには,競技力向上に関して精神力(近年では心理的スキルと言われている)のトレーニング法,スポーツ集団の運営法,悩みをもった選手の相談,技術の心理的指導など,さまざまな心理学の知識が必要になります。また,高齢者や障害者の健康の維持・増進のために行われる健康スポーツについて,運動を始めたり,運動を続けたりするための心理学的分析や,運動・スポーツが心の健康にどのように貢献するかについての研究も盛んに行われるようになりました。

私たちは心のもち方で体調が変わったり,動きや行動も変化します。競技や健康のために運動やスポーツをする人びとに対して,心を問題にするには多くの心理的知識が必要になります。それらを身につけて,心理的サポートができるようになるために,スポーツ心理学を勉強してみませんか。

スポーツ心理学とは

現在,わが国で行われているスポーツ心理学は「スポーツにかかわる諸現象を心理学的に分析する分野」と言うことができます。しかし,スポーツの内容をどこにするかによって定義は異なります。すなわち,レクリエーションスポーツ,生涯スポーツ,競技スポーツ,障害者スポーツ,高齢者スポーツ,ジュニアスポーツ,学校で行われる課外や正課のスポーツ活動,健康スポーツなど多様な目的のスポーツや,幼児から高齢者まで,障害者から健常者まで,初心者からプロの選手までの広範囲な年齢や対象によって,スポーツの内容は異なってきます。そこで,スポーツ心理学とは「多様な目的や広範囲な年齢や対象によって行われる運動・スポーツの基礎的・応用的研究を通して,その諸現象や効用性を心理学的に分析し,運動・スポーツの実践法や指導法に科学的知識を与えるスポーツ科学及び応用心理学の一分野である」と定義しておきたいと思います。スポーツ科学の一分野としての発展を期待したいのですが,関連分野の応用心理学の分野としても発展することが必要だと思います。

研究内容としては,(1)原理,(2)生理心理,(3)認知と反応,(4)学習と指導,(5)パーソナリティー,(6)社会心理,(7)発育・発達,(8)測定・評価,(9)臨床・障害,(10)競技心理,などに分類できます。

スポーツ心理学を学ぶために

スポーツ心理学を専門的に学ぶためには,まず,教育学部の保健体育科や体育学部のある大学に入学するか,教育学部などの心理学科のある大学に入学するか,2つの方法があります。
前者はスポーツ科学を,後者は心理学を専門的に学んだ後,大学院に進みます。大学院は修士課程や博士課程に「スポーツ心理学」コースがある大学を選び,スポーツ心理学を専門的に学ぶことになります。
なお,スポーツ心理学といっても,運動学習系,健康スポーツ系,競技力向上(メンタルトレーニング)系,社会心理学系に大別できます。それぞれの分野で多くの著書が発行されていますので,それらの幾つかを読んでみて,関心の強い分野に進むのがよいでしょう。近年,メンタルトレーニングに関する翻訳書や著書が多いのは,スポーツ心理学を学び,メンタルトレーニングに興味のある人が多いためだと思います。
学会としては,日本スポーツ心理学会や九州スポーツ心理学会が開催されたり,各地で研究会や研修会が開催されています。外国では国際スポーツ心理学会,応用スポーツ心理学会,国際メンタルトレーニング学会などが開催され,多くの日本の研究者が参加しています。

(第一福祉大学 徳永幹雄)

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