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『日本語大シソーラス』を推薦します。
「面白いシソーラス」
―― 水谷靜夫(国語学・東京女子大学名誉教授)
「関連」との関連で「相関」「連動」「絡み合う」などが並ぶ上に、「水と魚」がある。フム、成程。類語集は普通そこまでの面倒を見ない。シソーラスは読んで面白いという手の本ではないのだが、本書はどうしてどうして。単なる類語集でない事は、分類目《測度》中の《名数一覧》など見ても知れる。《流行り廃り》に《流行る》《流行らない》が続くから、対義語が見付けやすい。シソーラス項目の分類・排列には編者の世界観が反映するので、見方の似た人でないと引きにくいが、本書の索引には工夫があり、アの部「ああいえばこういう」の所に寄せてあるのが「臍曲がり」「口煩い」「物言い」「口答え」である事まで掴めて、語釈が無くてもその見当が付く。
「待望久しい類語辞典」
―― 山口明穂(中央大学教授)
夏目漱石の授業にかつて出席した一人は、極めて魅力的な授業であったという。そして、その魅力の源泉は、解釈の的確性にあり、そこで使われた個々の語が強く若者に訴えたからという。適切な言葉を使った文章は受け取る者に大きな感銘を与える。そのような力のある言葉が使えたならばというのは、誰でもが持つ希望であろう。類語辞典は、表現の場において、どの語が最適か、それを知る手がかりとなる。自分の心を満足させる語はどれか、本書を机辺に備え、ふとした手紙でも、また、文章でも、充実した内容の日本語としたい。本書の編者は、この道に長い苦労を続けた人と聞く。それが完成し、待望久しかった、その成果の利用できる日が来たことを心から喜びたい。
「言葉の宇宙を広げる」
―― 堀内克明 (元明治大学文学部教授、現リセケネディ〔ニューヨーク〕辞書研究所教授)
待望の日本語分類語彙検索大辞典が出た。かねてその必要を説き、小部分に着手したが、片手間では到底不可能と知った夢である。編者山口翼(たすく)氏は30有余年その編集に打ち込み、ついにライフワークの完成を見た。 日本語のありとあらゆる語彙(成句、諺、季語、枕詞、外来語、捉足音語などすべて)を意味の類似と関連で項目別に配列している。ここに日本の文化、日本人の精神と習俗が凝縮されている。ここから詩想も思想も波み出せる。この言葉の大海に遊ぶ人は、魂を洗われ、生まれ変る心地さえする。言葉の宇宙を広げ、発想と表現を豊かにし、言語生活の習慣を変える必備の「日本語総覧」として、すべての人にお薦めしたい。
「最高の助言者」
―― 柳瀬尚紀(成城大学教授)
たとえば「蹌踉(よろ)ける」というより「泳ぐ」というほうが、その動きを的確にとらえることがある。言葉に関心を持つ者なら誰しも、そういうmot justeをつねに求めるだろう。その最高の助言者として、山口翼『日本語大シソーラス』が登場した。「不可能」から「芽を摘む」「芽をつぶす」、「不可能の比喩」として「塗箸で素麺を食う」「犬の歯に蚤」「影を搏つ」、「逃げる」から「げそをきる」「げそをはく」「げそを早める」「高句麗蒙古遁げる」といった回路を示してくれる助言者。フランス語圏に20年間在住して為し遂げた畏怖すべき驚異の単独作業。山口翼の名は日本のロジェイとして確実に残る。
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