よい体育授業を求めて

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よい体育授業を求めて
著者 体育授業研究会
ジャンル 書籍 > 体育 > 体育指導法
大学テキスト > 体育・スポーツ > 教科教育、教員養成
出版年月日 2015/05/20
ISBN 9784469267792
判型・ページ数 A5・320ページ
定価 2,640円(本体2,400円+税10%)

内容

体育の授業研究に携わる教師に必携の書

近年の研究動向に学びながら体育の授業研究の在り方を見つめ直す。その上で、よい体育授業の実現に向けた多様な考え方や視点を易しく解説し、そうした授業を展開するための教材例や指導事例を提示する。教師の日々の授業実践に役立つことはもちろん、研究者や学生の参考文献としても価値が高い。

目次

●はじめに――よい体育授業を求めて

第1章 体育授業研究の今日的課題

1 これからの体育授業研究に求められること(高橋健夫)
[1]世界に誇れる日本の体育授業研究システム
[2]「体育授業研究会」設立の趣旨と役割
[3]これからの体育授業研究に求められること

2 体育の可能性を拡げるために(松本格之祐)
[1]体育の授業で何が変えられるか
[2]体育の授業を変えよう
[3]私たちが体育の可能性を拡げよう

3 専門職コミュニティで身に付けるべき知識や技術の創出と共有に向けて(岡出美則)
[1]専門職コミュニティの必要性
[2]日本の体育授業の質を支えるもの
[3]教師の身に付けるべき知識や技術とその共有の仕方
[4]研究成果の伝え方を検討することの必要性

4 哲学の視点で体育の授業を考えてみる(友添秀則)
[1]集団疎開と「つき殺すお稽古」
[2]体育の授業研究と教師としての哲学
[3]よい体育授業に必要なもの
[4]鳥の目になって授業をみる

5 私の歩んだ授業研究の道程から今後の実践研究の課題を考える
  ――授業研究に取り組もうとするみなさんへ(内田雄三)
[1]他者の評価に一喜一憂した頃
[2]自分の授業を「主体的」に評価した頃
[3]多様であってよい授業研究
[4]これからの授業研究
[5]今後望まれる授業研究の姿

6 「よい」体育授業とは何か(大貫耕一)
[1]体育の授業を創る会
[2]「よい」体育授業と「思想性」
[3]「よい」体育授業と「主体性」
[4]「よい」★「できる」批判

第2章 よい体育授業のための授業研究の方法

1 授業研究が支えたボール運動実践(鈴木 聡)
[1]難しくなければ面白くない
[2]ゲームを進化させよう
[3]教師の手立て
[4]ゲーム中の声かけ
[5]授業研究が育ててくれた
[6]他者からの影響
[7]まとめ

2 実践者と研究者が“共同研究者”として取り組むアクションリサーチ(松井直樹・細越淳二)
[1]カンファレンスで学級の課題と体育授業をつなぐ
[2]学級開きにおける課題
[3]5月の授業実践「のびてちぢんでダルマ回り、へそまで跳ぼう! ゴム高跳び」
[4]グループの人間関係の課題
[5]6月の授業実践「めざせ! のりのりダンスマン!」
[6]おわりに

3 質的研究のすすめ――子どもの姿を語り合おう(起 祐司・世古辰徳・窪田啓伸)
[1]量的研究の課題と質的研究の可能性
[2]質的研究の意義
[3]実践を通して考える質的研究の具体
[4]量的研究と質的研究は「車の両輪」

4 フィールドの<内側>からの体育授業研究(鈴木 理・伊佐野龍司・内田雄三)
[1]はじめに
[2]フィールドワークの方法
[3]「科学」をめぐるアポリア
[4]<内側>からの研究事例

5 指導力量を高める体育授業研究の方法(長谷川悦示)
[1]専門職的な知識と技能、優れた意思決定能力
[2]「体育授業理論・実習」の概要
[3]理論実習の基本コンセプトと理論的背景
[4]授業力量・教師力を高める授業省察

第3章 教材づくりから考えるよい体育授業

1 教材づくりとよい体育授業(宮内 孝・岩田 靖)
[1]教材づくりの思想
[2]教科内容(学習内容)と教材化における組み替え
[3]ゲームにおける戦術的課題の「誇張」
[4]「確かな学力」に向けて

2 教材づくりと教授行為をつなぐ(中村恭之・岩田 靖)
[1]教材づくりの視線
[2]「生徒たちの声」から振り返る西部中の体育授業
[3]教材づくりに連結した教授行為
[4]「すべての子ども」ということ

3 教材づくりへの熱き思い(澤田 浩)
[1]ザ・シューター
[2]ザ・アタック

4 よい体育授業を支える教材史
  ――プレルボールの授業の起源と発展可能性(近藤智靖)
[1]はじめに
[2]プレルボールの教材化の意図
[3]ドイツとの対比
[4]日本におけるプレルボールの発展
[5]おわりに

5 簡単で楽しく力がつく教材づくり・授業づくり(平川 譲)
[1]“力をつける”体つくり運動の授業
[2]系統性を意識した体つくり運動
[3]楽しく、意欲的に取り組める体つくり運動
[4]簡単に取り組める体つくり運動
[5]なわとびの価値

第4章 学習集団から考えるよい体育授業

1 「かかわり」の本質とは何か――「かかわり」に着目した授業づくり(藥内 要・小谷川元一)
[1]「教える」ことと「育つ」こと
[2]真のかかわりとは何だろう
[3]2年生の実践から
[4]現在の実践
[5]子どもの可能性を信じて

2 体育授業と学級集団づくり(濱本圭一・日野克博)
[1]はじめに
[2]かかわり合いを重視した鉄棒運動の授業づくり――6年生、27名
[3]体育授業と学級集団をつなぐ教師のかかわり

3 「人間関係を築いていく力」を高めるフラッグフットボールの授業づくり(佐藤洋平・吉永武史)
[1]はじめに
[2]フラッグフットボールの教材的特性
[3]「人間関係を築いていく力」を高める授業づくり
[4]授業研究の成果と次への課題

4 学ぶ喜びを味わう共創なわとびの実践(垣内幸太)
[1]出逢い
[2]学ぶ喜びを味わえる授業
[3]4年生の共創なわとびの実践より
[4]共創授業

5 子どもとともにつくる「4の2フットボール」(長坂祐哉)
[1]「フットボールって?」
[2]4の2が願うフットボール
[3]子どもの切実感から深まる学び
[4]教師の手立て
[5]まとめ

第5章 戦術学習の授業づくり

1 子ども発達段階を考慮したゴール型ゲームの授業づくり(小畑 治)
[1]系統的な目標とボールゲーム
[2]低学年では「ねらう場所がわかる」を目標に
[3]中学年は「ノーマークがわかる」を目標に
[4]高学年では「オープンスペースがわかる」を目標に
[5]授業づくりに向けた留意点

2 ネット型ゲームの教材づくりとその発展方向を求めて(竹内隆司・斎藤和久)
[1]「ネット型」の本質的な魅力
[2]「ネット型」の教材づくりの視点
[3]「ネット型」の発展方向を探るポイント

3 シンプルで子どもが伸びるキャッチアタックバレー(清水 由)
[1]日々の実践から見える子どもの姿
[2]子どもの姿から考えるボール運動の学習内容
[3]ネット型「キャッチアタックバレー」の実践

4 中学校のバレーボールの教材づくり(福ヶ迫善彦・原 和幸)
[1]ゲーム構造を理解することの重要性
[2]ネット型の学習内容
[3]ネット型ゲームの教材づくり
[4]授業の様子と課題

5 ラケットレステニス(攻防一体型ゲーム)の授業づくりへの挑戦(岡田弘道・多田夕紀・米村耕平)
[1]実践の背景
[2]教材と授業の実際
[3]授業実践者の振り返り

6 「できるようになりたい」を大事にした授業づくり(井上寛崇)
[1]運動有能感の視点
[2]「すすみっこベース」の実践

7 教師が子どもと創るフライング・ベースボール(前場裕平・穴吹哲郎・米村耕平)
[1]フライング・ベースボールとは?
[2]子どもの意識をつなぐ単元構成
[3]「チームの大切な一人」を実感できる授業をめざして

8 一撃の質を高める剣道の戦術学習(吉野 聡・菊地 耕・柴田一浩)
[1]はじめに
[2]授業づくり
[3]授業の様子
[4]まとめにかえて

第6章 地域性を活かした授業づくり

1 小規模校での体育授業実践(盛島 寛)
[1]岩手の「体育学習会」
[2]九戸村立江刺家小学校での実践
[3]西和賀町立沢内小学校での実践
[4]まとめにかえて

2 サークル仲間と取り組むフラッグフットボールの授業づくり(小古呂優範)
[1]研究サークルとの出会い
[2]授業づくりの過程
[3]実践の展開
[4]ともに授業をつくる仲間

3 群馬体育授業研究会の取り組みと体育授業実践(吉井健人・深田直宏・早川由紀・大友 智)
[1]群馬体育授業研究会の取り組み
[2]愛好的態度に着目した体育授業実践の取り組み

終章 座談会──よい体育授業を求めて

1 よい体育授業のための多様なアプローチ――ネット型ゲームを例に
[1]佐藤実践の概要
[2]石田実践の概要
[3]濱本実践の概要
[4]授業展開の2つのルート
[5]返球回数のルールの違い

2 体育授業研究会のこれまでとこれから
[1]授業研が果たした役割と成果を振り返る
[2]これから考えるべきこと
[3]授業研が取り組むべきテーマ

●あとがき――体育授業研究会のさらなる発展に向けて

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