身体運動学 行動選択の規準と運動の経済性

原題:Energetics of human activity

内容

運動の経済性が総合的に理解できる

人間は運動に熟練すると無駄な動きが削がれ、難しそうに見える動きも簡単に行えるようになる。この運動の経済性にはさまざまな要因が絡むため、解明するには複数の学問領域から捉える必要がある。本書では、この問題に関連して、バイオメカニクスを中心に、運動生理学、心理学などの基礎的な内容が解説される。

目次

第1章 エネルギー消費と運動の正確性:
    筋および呼吸循環系の活動水準と努力感の関係
 1.運動における代謝エネルギー消費
 2.代謝エネルギー消費の調節のための情報論的基盤
 3.運動の正確性と筋活性水準
 4.呼吸循環系―骨格運動系協応
 5.まとめ

第2章 ヒトのロコモーションの構造と行動を形成する要因
 1.ヒトの二足歩行のエネルギーに対する進化的制約
 2.ヒトの二足歩行のエネルギー論
 3.エネルギーコストで歩容の全特徴を説明できない
 4.まとめ―ロコモーション中には複数の目的が最適化される―

第3章 運動の熟練:課題の要求と制約を考慮した動きの評価
 1.運動経済性と効率
 2.運動の熟練
 3.歩容の転移とダイナミカル・システムズ・アプローチ
 4.要約

第4章 運動経済性、選好様式、ペース
 1.活動様式の経済性の定量化
 2.選好様式とペース
 3.選好様式の選択に潜むメカニズム
 4.運動経済性を規定する感覚情報
 5.要約と結論

第5章 歩-走行相転移の引き金
 1.歩-走行相転移の現象学
 2.シナジェティクスと走-歩行相転移
 3.人体測定学と歩-走行相転移
 4.歩-走行相転移のエネルギー論
 5.結論と今後の方向性

第6章 学習がもたらす行動効率の変化:成功反応に対する
     外在的即時フィードバックと最終的フィードバックの効果
 1.行動効率の決定における遺伝と環境の役割
 2.行動効率の決定におけるフィードバックと強化の役割
 3.即時あるいは最終的フィードバックが行動の効率に及ぼす影響
 4.総括論議

第7章 身体運動における力学的パワーと仕事
 1.議論のトピックス―見かけのパワーと仕事
 2.主な論争
 3.力学的仕事と力学的パワー
 4.基礎的概念
 5.仕事・パワー算出モデルと方法
 6.身体運動における力学的パワーと仕事の懸案事項
 7.まとめ

第8章 周期的運動の学習における最適化
 1.適応と最適化
 2.行為と反応
 3.適応と調整
 4.運動学習における効率の概念
 5.エネルギー消費の最適化
 6.最少努力
 7.仕事率
 8.最小時間
 9.最適な安定性
 10.複合的な最適化基準
 11.周期的運動の学習
 12.まとめ

第9章 動力学および熱力学的制約とロコモーションの代謝コスト
 1.ロコモーションの振り子モデル
 2.固有振動数、最適性と振り子モデル
 3.ストライド長―ストライド周波数への強力な拘束条件としての共振問題
 4.ロコモーションの逆ハイブリッド(振り子とバネ)モデル
 5.発達と疾病
 6.痙性脳性麻痺のケース
 7.ストライド周波数とストライド長の制御における熱力学
 8.安定性と代謝コストの再考
 9.将来の方向性:協応パターン

終章
 1.学習
 2.歩行のエネルギー論
 3.理論の方向性
 4.測定と定義
 5.まとめ

 索引

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