健康文化論

健康文化論
著者 瀧澤利行
ジャンル 書籍 > 保健・健康 > 健康一般・健康科学・健康文化
出版年月日 1998/02/10
ISBN 9784469263817
判型・ページ数 A5・250ページ
定価 2,640円(本体2,400円+税10%)

内容

人々が求めてきた健康とは何であったか。「健康文化」の共有理念や社会的機能、具体的事象の展開などを歴史的視点を明確にしながら分析する。

目次



序 章
1 高齢社会と医療の動揺
2 生命倫理と「生きること」「死ぬこと」の哲学の大衆化
3 医療化と脱医療化


第1部 健康文化の歴史的位相

第1章 健康文化としての養生論
1 養生論とは何か
「養生」の概念と「養生論」/養生論の特徴
2 「都市文化」としての養生論
健康の情報媒体としての養生論(書)/思想的メッセージとしての養生論
3 近世庶民の生活(命)観と健康観
近世期養生論における生命観と健康観/近世期養生論の生活思想/人間発達と養生思想
4 健康文化としての養生

第2章 「衛生思想普及」の文化構造
1 衛生行政の進展と衛生思想の普及
2 大日本私立衛生会と衛生思想の普及
「大日本私立衛生会」設立の経緯と役員構成/「通俗衛生演説会」の開催/「衛生展覧会」と「衛生教育」概念
3 大日本私立衛生会の思想
大日本私立衛生会雑誌の論説/大日本私立衛生会の衛星観
4 衛生思想普及における伝統と近代

第3章 健康雑誌の文化史
1 戦後健康雑誌の先駆け ―『保健同人』誌の創刊―
2 戦前の健康雑誌
3 『保健同人』以降の戦後大衆健康雑誌
『保健同人』の特徴とその後―戦後第一世代の健康雑誌―/戦後第二世代の健康雑誌―健康法全盛の時代―/戦後第三世代の健康雑誌―情報化時代の健康雑誌―
4 健康雑誌の文化的機能

第4章 近代日本の健康法
1 医学と健康法
2 明治前期の健康法 ―石塚左玄の「食養主義」
3 近代日本の健康法の展開
自彊術/西武健康法/真向法/ヨガ/野口式整体法/導引術
4 近代日本の健康法と民族意識

第5章 医療小説と健康文化
1 医療小説というジャンル
2 戦後日本の医療小説における医学と医療
『白い巨塔』の世界とそのドラマツルギー/『海と毒薬』にみられる医学の虚無性/『赤ひげ診療譚』の医療観/渡辺淳一『少女の死ぬ時』


第2部 健康文化の現代像

第6章 健康づくりと健康文化の政策過程
1 健康づくり政策の展開
2 ライフスタイル論の影響
3 健康づくりにおける地方自治体の参画と民間団体の参入
4 健康文化政策の実状と性格

第7章 大衆の生活伝統と健康文化の融合 ―温泉文化の健康活用―
1 日本の温泉文化とその活用
2 ドイツの温泉保養システム
3 現代日本の温泉と健康増進

第8章 セルフケア、ヘルス・ボランティアと自己形成
1 セルフケア論の展開
2 セルフケアの内容と特質
3 セルフ・ヘルプとヘルス・ボランティアの文化的機能
セルフ・ヘルプ運動の文化的性格/ヘルス・ボランティアの文化的機能
4 文化としてのケアと自己形成


第3部 健康文化の理論と展望

第9章 健康文化を生み出す思想
1 健康思想の東西源流 ―プラトンと道教―
プラトンの健康思想/道教の健康思想
2 近代西欧社会における健康思想
近代科学精神と健康思想/ベーコンの養生論/カントの養生思想
3 健康思想の社会的性格

第10章 「文化」概念と文化の理論
1 「文化」の概念とその基礎理論
「文化」概念の変遷/文化の理論
2 「生活文化」の視点
3 生活文化の理論
4 健康文化の成立

第11章 健康文化理論の形成と展開
1 「衛生文化」の概念と社会衛生学
2 労働者運動の中の健康文化
3 近代日本における健康文化の先駆

結章 健康文化の機能と展望
1 健康文化の機能
2 健康文化の可能性

索引


ジャンル