内容
子どもの権利、性的人権の確立について、あるべき方向性を提示
子ども虐待の問題にようやく社会的な注目が集まりつつあるとはいえ、まだまだわが国においては、自らの家庭、自らの教室、目の前にいる子どもの問題としてはとらえられていない。子どもの権利がまだ生活のなかで定着していないのである。とりわけ子どもの性的人権の問題は成熟した議論がなされていない。本書はそのような国際的には通用しない、憂うべき現状にメスを入れ、克服すべき課題と方向性を提示した好著。
目次
第I部 子ども虐待と性的虐待の動向と理解
第1章 今日の子ども虐待の動向と理解
1 子ども虐待の実態と把握方法
2 子ども虐待に関する定義の分類と視点
3 理論的到達点の批判的検討
4 対応上の実践的成果と課題
第2章 今日の性的虐待の動向と理解
1 性的虐待の実態と把握方法
2 性的虐待に関する定義の視点と分類
3 性的虐待の子どもへの人格的影響
4 性的虐待に立ち向かうために
第3章 家族での子どもの性的虐待
1 性的虐待とはなにか
2 性的虐待の実態
3 子どものセクシュアリティへの影響
4 性的虐待を発見するために
5 集団的検討と対応の基本
第4章 子どもの権利条約と子ども虐待・子ども買売春
1 世界の子どもの性的搾取と性的虐待
2 子ども売春
3 子どもの売買
第II部 子どもの人権と性教育
第5章 日本の子どもの権利・総点検
1 子ども―おとなの関係の点検
2 子どもの権利――子どもの権利条約における子どもの権利論
3 子どもの権利の総点検
4 子どもの権利をどう発展させていくか
第6章 性教育の基本的視点と個別テーマ
1 子どもたちの性をどうみるか
2 なぜ性教育は取り組みにくいのか――どうしておとなは性を語れないのか
3 性教育の基本的視点とテーマ
第7章 共生時代の性教育
1 「HIVとともに生きる時代」の性行動
2 「共生時代」の性教育の課題――内なる「純潔教育」論の克服のために
3 共生を阻むもの
第8章 性的虐待と性教育
1 いま、なぜこのテーマなのか
2 性的虐待の被害児たち
3 性的自立の第一歩としてのノーモア・シークレットの実践
4 年少児の性教育の課題
5 性的虐待に関するネットワークづくりを
第9章 子どもの権利条約と性教育の課題――「子どもの権利」への攻撃に抗して
1 子どもの権利と性教育
2 「国連・子どもの権利条約」の特徴と歴史的意義
3 子ども観の発展と性教育
4 子どもの権利条約をめぐるいくつかの論点
5 子どもの権利条約における性教育像
付録・子ども虐待に関する文献目録