第3巻 表象としての身体

第3巻 表象としての身体
著者 鷲田清一
野村雅一
ジャンル 書籍 > スポーツ科学 > 文化論・人類学
シリーズ 叢書 身体と文化
出版年月日 2005/06/30
ISBN 9784469163438
判型・ページ数 A5・434ページ
定価 4,400円(本体4,000円+税10%)

内容

身体はたえず抽象化され、隠喩化されてきたために、何がその第一次的な機能かわからないほど豊かな意味の世界が見いだされる。この身体が、さまざまな文化のなかでどのように解釈され、表現されてきたか。そのありようを第一線の研究者たちが丹念にあぶり出す、シリーズ最終巻。

目次

序論 表象としての身体 ―― 身体のイメージとその演出 鷲田清一

身体の位置
感覚技法と文化
身体の解釈
身体のアラベスク
機械モデルから神経モデルへ
「従順な身体」?
無限のプログラミングの場としての身体
身体のアラベスク

第I部 身体のアーキタイプ

元型としての身体 河合俊雄

ユングとファルス
象徴としての身体
イメージと身体
コスモロジー ― 世界としての身体
ファルスと魂
身体の現実性

絶対的な匿名性 松浦寿夫

特定矛盾/主要矛盾
迅速な手
機械性の習得
ル・コルビュジエとモデュロール
シュレンマー/クライスト
私生児の機械
同じもの/異なるもの
画家以上の何ものか

クロゼットの中の骸骨たち ― 一八世紀の解剖学における最初の女性骨格図像 ロンダ・シービンガー(本間直樹・森田登代子訳)


性差、そして近代解剖学のはじまり(一六〇〇~一七五〇年)
性は皮一重のものではない
万物の尺度としての人間=男性(マン)(白人かつヨーロッパ人)子どもと未開人(プリミティブ)としての女性
自然法としての社会的不平等

第II部 顔の変幻

顔の現象学 ― ジュゼッペ・アルチンボルド 小岸昭

<驚異の顔>
ある神秘主義者の顔
<驚異の部屋>
<顔>の創造と『創造の書』
元素化された顔の驚異
カバラの〈顔〉

仮面と身体 吉田憲司

仮面考の系譜、断章
民族誌にみる仮面と憑依
仮面と身体

第III部 皮膚と衣

表象としての皮膚 谷川渥

皮膚という存在
文明的隠喩としての皮膚
性と皮膚
彫刻論における皮膚の位置
絵画と皮膚

刺青、あるいは皮の衣の秘儀 松枝到

肉の-なかの-わたし
いれずみの古代
パノプティコン
いれずみの機能
日本のイレズミ・ルネサンス
風俗と刑罰
秘儀への夢想

消し去られる身体 ― アラブ・ムスリム女性をめぐる断章 大塚和夫

「第三世界には女はいない」
オリエントの女性の身体
切除される身体の一部 ― 女子割礼
身体の物理的消去 ― 性的「不始末」の処理
封じ込められる身体 ― ハーレム制度
身体の消去 ― ヴェールの着用

第V部 身体の運動空間

身体パフォーマンスの発生とストラクチャー 市川雅

アリストテレスにおける「憐憫」
乞食のパフォーマンスと憐憫の感情
パフォーマンスとゲーム
乞食のスタイル ― インドにて
パフォーマンスを欠落させた人々
身体損傷者と非損傷者のパフォーマンス
生活のなかでの身体表現
身体と姿勢dd>新しいコードの発生
オートバイの思想
空間と時間の文節化

ブラック・イズ・ビューティフル ― 米国黒人の身体表現 辻信一

黒人的コミュニケーション
抵抗の身体性
まとめ ― 黒人的身体の優位性

建築と身体 角野幸博

身体と建築との相互関係
建築と都市のデザイン原理
建築における身体感覚の変容
建築と都市をめぐる身体論の予感

第V部 加工される身体

見えない衣 ― 下着という装置、マネキンという形象 鷲田清一

下着という装置
皮膚というオルガン
マネキンという形象

矯正=直立化される身体 ― 教育とその権力の歴史

ジョルジュ・ヴィガレロ(神田修悦訳)

礼節と直立性の記号学
身体修練の曖昧性
幼年期における身体の可塑性
優雅さのコード
イエズス会士たちの劇場

★カレイドスコープ

●身体ととけあう 深井晃子

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