潜水医学入門

安全に潜るために

潜水医学入門
著者 池田知純
ジャンル 書籍 > スポーツ技術・トレーニング・コーチング > 潜水・ダイビング
出版年月日 1995/08/20
ISBN 9784469263121
判型・ページ数 A5・290ページ
定価 3,520円(本体3,200円+税10%)

内容

安全に潜るための理論と実際

潜水は日常と異なる環境下での活動であり、事故を防いだり、安全な潜水を行うためには、また、医師が潜水に関わる疾病を治療するには、潜水医学の基本的な知識を習得しておくことが不可欠。本書は海上自衛隊の潜水医官が、長年の潜水研究と経験を基に潜水指導やダイバー、医師のために安全潜水に不可欠な医学的・生理学的な内容を基礎から応用まで、誰にもわかりやすく詳述した日本で初めての実用潜水医学書。ふだんの疑問が一挙に解決できる。

目次


[1]潜水医学に必要な物理
圧力/気体の体積と圧力および温度の関係/分圧の法則/ヘンリーの法則/不活性ガス/ガス密度/熱の伝導

[2]潜水医学に必要な解剖生理
循環/呼吸/神経系

[3]潜水方法
素潜り/ヘルメット潜水/スクーバ潜水/マスク潜水/飽和潜水/バウンス潜水/大気圧潜水/混乱しやすい潜水用語

[4]潜水に用いる機器
面マスク/フィン/スノーケル/スクーバ潜水/レギュレータ/ヘルメット潜水/マスク潜水/ウェットスーツ/BC

[5]潜水で用いられる呼吸ガス
空気/酸素/ヘリウム酸素/水素酸素/その他の混合ガス

[6]潜水と呼吸および運動量
呼吸による運動制限/MVV(最大努力換気量)/フローボリューム曲線/分時換気量/酸素摂取量/水中で息をできるか

[7]酸素中毒
潜水でみられる主な酸素中毒/脳酸素中毒/肺酸素中毒

[8]低酸素症
低酸素症と窒息/潜水現場での低酸素症/シュトー効果

[9]炭酸ガス中毒
スクーバ潜水と炭酸ガス中毒/ヘルメット潜水と炭酸ガス中毒/炭酸ガス吸収剤/炭酸ガス中毒の影響/血中炭酸ガス分圧が高いダイバー

[10]一酸化炭素中毒
一酸化炭素中毒の機序/潜水と一酸化炭素中毒

[11]窒素酔い
窒素酔いの症状/窒素酔いの軽減

[12]過喚気症候群
症状と診断/治療/潜水における過換気症候群

[13]圧外傷
用語/病態の概要/肺圧外傷/副鼻腔圧外傷/耳の圧外傷/その他の圧外傷

[14]空気塞栓症
空気塞栓の形成/病態と症状/診断/治療/予防

[15]減圧
古典的減圧理論/古典的減圧理論の問題点/減圧理論からいえること/最近の話題

[16]気泡の発生と検知
微小ガス核の存在/気泡の消長/気泡の検知/肉眼的に認められるガス層の形成

[17]減圧症
用語/気泡と減圧症/減圧症の症状/皮膚掻痒感/皮膚の発赤/四肢の痛み/リンパ浮腫/脊髄型減圧症/脳型減圧症/肺減圧症(チョークス)/内耳型減圧症/その他の減圧症/診断

[18]減圧表
米海軍空気標準減圧表/水上減圧表/繰り返し空気潜水のための残留窒素表/無減圧空気潜水表/ヘリウム酸素潜水減圧表/米海軍減圧表の適用に当たっての注意点/その他の減圧表

[19]減圧障害に対する再圧治療およびその他の治療

I 再圧治療
再圧治療と高圧酸素治療/各種再圧治療表/再圧治療表の適用/削除された再圧治療表/再圧治療における注意点

II その他の治療
酸素呼吸/補液/その他

[20]骨壊死
発症のしくみ/診断と予防/初期病変の捕捉/最近の話題

[21]低体温症
熱伝導からみた人の体/熱の産生と損失/血流と断熱効果/ウェットスーツの効用/深い潜水における熱損失/水と低体温症/水温と生存可能時間/低体温症の症状と治療

[22]パニックと潜水
溺死とパニック/なぜパニックに陥るのか/パニックの実態/パニックの予防/危険の回避および予知/空気がなくなったとき/パニックでは死なない

[23]素潜り
用語/素潜りの方法/素潜り中の体の変化/呼吸の調節/潜水前に過呼吸をすることは安全か/素潜りと空気塞栓症および減圧症

[24]溺水
溺水の原因/病態/治療

[25]潜水および高圧曝露によるその他の変化
潜水反射/高圧徐脈/利尿作用/高圧利尿/頸動脈洞反射/高圧神経症候群/加圧関節痛/変圧によるめまい/空気嚥下/食道炎/外耳炎/外耳外骨腫/日(熱)射病/頭痛/高圧下の薬の作用/感染症/海洋生物による危害

[26]女性と潜水
女性の特徴/妊娠と潜水

[27]潜水適性
ダイバーの種類と潜水適性/運動からみた潜水の特徴/ふたつの潜水適性/心理的精神医学的潜水適性/身体的潜水適性/心肺機能/循環機能/肺機能/実用的な心肺機能の把握法/循環器疾患/肺疾患/年齢/当日の体調/神経疾患/耳鼻疾患/減圧障害の既往/その他の一般疾患/通気性/潜水は安全だ

[28]症状からみた潜水に起因する各種の障害
意識障害/痙攣発作/頭痛/めまい/吐き気/嘔吐/胸痛/呼吸困難/四肢の痛み/痒み/皮膚の発赤/顔面のむくみ/四肢の麻痺/四肢の知覚障害/腰痛/疲労/鼻出血/血痰/耳痛/難聴および耳鳴/その他


あとがき

付録1 UPTD
付録2 ホールデーン教授による減圧理論
付録3 気泡の縮小

参考文献
さくいん

ジャンル