王莽

改革者の孤独

内容

王莽は、始皇帝・曹操に並ぶ改革者である

中国では二十世紀まで「古典中国」と称すべき国のあり方が存続していた。この儒教に基づく国のあり方を決定づけたのは、前漢の簒奪者として悪名高い王莽にほかならない。にもかかわらず、その徹底した改革ゆえに、同時代からも後世からも理解されなかった男の事績をたどり、その影響力の大きさを改めて問い直す。

目次

はじめに

◆第1章 王莽出現前夜
1.儒学か儒教か
改革の志/哲学か宗教か/孔子と五経/董仲舒の天人相関論/経典の出現時期と政治状況
2.「儒教の国教化」論
定説の虚像/国教化の時期/経書と緯書
3.法律から経典へ
政治の規範/故事の役割と限界
4.漢家の故事と経典
郡国廟の存廃/天子七廟制/天を祀る場所

◆第2章 儒学との出会い
1.孝・悌により出世
兄への悌/伯父への孝
2.古文学と劉★(りゅうきん)
古文学の長所/暦の正しさと音楽/三統暦と経学
3.五将十侯
模範となる伯父/王莽のライバル
4.哀帝の迷走
王氏の排斥/王莽都を追われる/天下は誰のもの

◆第3章 古典中国への提言
1.周公と『尚書大伝』
安漢公に就任/周公の故事/居摂践祚
2.古典的国制への提言
孔子の子孫と周公の子孫/元始中の故事
3.郊祀と宗廟
南北郊祀/七廟合祀
4.王者の徳を慕う夷狄
華夷混一の世界観/天下は十二州

◆第4章 莽新の建国
1.古文学の顕彰
古文立学/劉向・劉★(りゅうきん)の校書
2.漢火徳説
水徳・土徳から火徳へ/漢堯後説
3.舜の末裔
平帝崩御/漢新革命の正統化
4.莽新の建国と符命・経義
符命の利用/経義の展開

◆第5章 『周礼』国家
1.『周礼』による太平
『周礼』に基づく税制/度量衡と貨幣
2.爵制に基づく官制
安漢公と五等爵制/爵制と官制改革
3.封土と地方行政
封土の確保/地方官の世襲
4.井田と爵位
「井田」の理想/身分的土地所有

◆第6章 理念と現実
1.民と利を争う
塩専売の興廃/六★(りくかん)の必要性
2.『周礼』と『管子』
『管子』の経済思想/民に銭を貸す
3.夷狄を従える理念の帝国
「大一統」における夷狄の位置/『尚書』の世界観/夷狄を包括する『周礼』の天下/王莽の世界観の射程
4.王莽の孤独
腹心の離反/子の不法/政策の撤回/劉★(りゅうきん)の裏切り

◆終章 古典中国の確立
1.「劇秦美新」
揚雄の王莽賛美/諸政策と『尚書』/封禅の勧進
2.班固の王莽批判
王莽伝の「賛」/「典引」
3.「儒教の国教化」再論
王莽期・光武帝期/「儒教国家」とは何か/白虎観会議の意義
4.「古典中国」の形成
「古典中国」への国制改革/王莽の歴史的意義

引用・参考文献
おわりに

関連年表
索引

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