日本語助動詞の研究 新装版

日本語助動詞の研究 新装版
著者 北原保雄
ジャンル 書籍 > 日本語・日本文学・日本語教育・国語教育 > 文法
出版年月日 2012/10/10
ISBN 9784469222241
判型・ページ数 A5・668ページ
定価 8,690円(本体7,900円+税10%)

内容

今も読み継がれる助動詞研究の名著が、新装版で登場!

古典語から現代語に至る日本語の助動詞を、今までにない構文論的側面から考察し、新局面を拓いた書。構文論的観点から助動詞の分類を試みると、意味・接続・活用などの諸面から、まったく新しい分類がなされることになった。

目次

まえがき
序章 助動詞とは何か――助動詞は品詞として認められるか――
  第1節 はじめに
  第2節 助動詞を品詞として立てる立場
   1 大槻文彦の場合
   2 橋本進吉の場合
  第3節 助動詞を品詞と認めない立場
   1 山田孝雄の場合
   2 山田孝雄の複語尾説
   3 松下大三郎の場合
   4 鈴木重幸・渡辺実の場合
  第4節 助動詞は品詞として認められないか
   1 山田説への疑問
   2 橋本説についての検討
   3 山田説についての検討
   4 渡辺説の問題点
  第5節 助動詞は品詞として認められる
  第6節 助動詞とは何か

本編 I  助動詞についての構文論的考察

 第1章 助動詞の相互承接に認められる一定の順序
 第2章 助動詞の相互承接の順序の意味するもの
  第1節 橋本進吉の解釈
  第2節 大野晋の解釈
  第3節 渡辺実及び阪倉篤義の解釈
 第3章 統叙は一つか――展叙と統叙との関係――
  第1節 展叙と統叙との関係の仕方についての疑問
  第2節 展叙と統叙との関係の仕方についての具体的考察
   1 「~せてみる」と「~てみさせる」
   2 「~られている」と「~ていられる」
   3 「~てもらってやる」と「~てやってもらう」
   4 「~てもらってる」と「~ていてもらう」
   5 「お~申し上げなさる」
  第3節 統叙は一つではない
   1 統叙には序列がある
   2 渡辺実の批判に対する答え
 第4章 助動詞の相互承接についての構文論的考察――その1――
  第1節 はじめに
  第2節 助動詞の相互承接についての具体的考察
   1 「せる」「させる」
   2 「れる」「られる」
   3 「せる」「させる」「れる」「られる」と敬語及びアスペクト表現の語との相互承接
   4 「たい」
   5 「そうだ」「らしい」
   6 「そうだ」「らしい」と「ない」との相互承接
   7 「そうだ」「らしい」と「た」との相互承接
   8 「そうだ」「らしい」「う」「よう」「だろう」が「た」に下位することの意味
   9 「た」に下接しない「う」「よう」
   10 位格の位置
   11 終助詞
  第3節 助動詞の相互承接と文の構造
  第4節 文の種類と統叙
 第5章 連用展叙再考――述語の統括機能について――
  第1節 展叙と統叙についての再検討
   1 展叙と統叙との関係
   2 連用修飾語の整理
  第2節 連用成分の二分
  第3節 補充成分と連用修飾成分
  第4節 補充成分と連用修飾成分を区別する論拠
   1 連用展叙の無形化
   2 連用展叙の有形無実化
   3 連用成分に係助詞「は」が下接すること
   4 連用成分に副助詞が下接すること
  第5節 結論
 第6章 助動詞の相互承接についての構文論的考察――その2――
  第1節 統括機能と統括概念
  第2節 実質概念と付属概念
  第3節 修飾成分の種類
  第4節 情態修飾成分の修飾する付属概念
  第5節 程度修飾成分の修飾する付属概念
  第6節 時の修飾成分と時格補充成分
  第7節 叙述修飾成分とその修飾対象
  第8節 陳述修飾成分とその修飾対象
  第9節 まとめ
 第7章 文構造の段階と助動詞
  第1節 はじめに
  第2節 従属句の構造
  第3節 述語文の構造
  第4節 並立成分と接続成分の構造
  第5節 情態修飾成分の構造
  第6節 まとめ

本編 II  助動詞の分類

 第1章 助動詞の定義とその外延
  第1節 はじめに
  第2節 従来の文法論における助動詞の外延
  第3節 大槻文彦における助動詞の外延
  第4節 助動詞の外延についての諸説の相違
  第5節 助動詞の具有する形態・意味・職能
  第6節 まとめ
 第2章 接続の仕方による分類
  第1節 はじめに
  第2節 接続の仕方による分類の一覧
  第3節 非活用語に下接するもの
   1 「らしい」
   2 「だ」「です」「なり(断定)」「たり(断定)」および「す」「あり」
   3 「あり」――形容詞のカリ活用および形容動詞の活用語尾――
   4 「だろう」「でしょう」
   5 「ごとし」
   6 「やうなり」「ようだ」「ようです」
   7 「そうだ(様態)」「そうです(様態)」
   8 まとめ
   9 渡辺実の「判定詞」について
  第4節 活用語にのみ下接するもの
   1 はじめに
   2 連体形・已然形(仮定形)・命令形に下接しないことの理由
   3 終止形に下接することの意味
   4 未然形に下接することの意味
   5 連用形に下接することの意味
   6 まとめ
 第3章 活用による分類
  第1節 活用の形式による分類
   1 活用の形式による分類
   2 動詞型の活用をするもの
   3 形容詞型の活用をするもの
   4 形容動詞型の活用をするもの
   5 特殊型の活用をするもの
  第2節 活用形の完備不完備による分類
   1 活用形の完備不完備による分類
   2 六つの活用形が完備しているもの
   3 命令形だけを欠くもの
   4 終止形・連体形・已然形の三つの活用形だけのもの
   5 終止形と連体形の二つの活用形だけのもの
 第4章 構文的職能による分類
  第1節 統括機能による助動詞の分類
  第2節 形式動詞「なり」との相互承接による助動詞の分類
   1 形式動詞「なり」を分類の基準とする理由
   2 形式動詞「なり」の構成する成分の具有する構文的職能
   3 形式動詞「なり」との相互承接による助動詞の分類
   4 形式動詞「なり」に上接あるいは下接することについての構文論的解釈
  第3節 形式動詞「あり」との相互承接による助動詞の分類
   1 形式動詞「あり」の特異性
   2 形式動詞「あり」が下接する助動詞の特徴
   3 形容詞の構成する成分の具有する構文的職能
   4 形式動詞「あり」が下接する助動詞の位置づけ
   5 形式動詞「あり」の構成する成分の具有する構文的職能
   6 形容動詞「あり」が下接する助動詞の構文的特性
   7 「ず」について
  第4節 まとめ
 第5章 表現性による分類
  第1節 はじめに
  第2節 「連体なり」に上接する助動詞の表現性
  第3節 「連体なり」に下接する助動詞の表現性
  第4節 「連体なり」に上接も下接もする助動詞の表現性
   1 「べし」について(付「まじ」)
   2 「けり」について
   3 「ず」について
  第5節 形式動詞「あり」に上接する助動詞の表現性
  第6節 「ず」に上接することの意味、下接することの意味
  第7節 おわりに
 第6章 意味による分類
  第1節 従来の分類
  第2節 山田孝雄および安田喜代門の分類
  第3節 橋本進吉の分類
  第4節 意味による分類についての新しい試み

終章 助動詞研究のまとめと残された課題(付 既発表論文一覧)

あとがき
索引

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