柳模様の陶磁器をめぐる東西文化の往還

柳模様（ウィロー・パターン）と呼ばれる陶磁器の文様がある。18世紀末、シノワズリーの時代にイギリスで案出されたこの中国風のデザインは、その文様にまつわる物語とともに、長く人々の心をとらえ続けてきた。本書は、柳模様の陶磁器とその物語の成立を探り、それがイギリス社会で果たしてきた役割について考察する。

まえがき
柳模様との出会い

１章　シノワズリー――柳模様誕生の背景
　１　シノワズリーとは何か
　２　シノワズリーの歴史
　３　シノワズリーと柳模様

２章　柳模様とは何か
　１　柳模様の誕生
　２　柳模様物語

３章　近代イギリス社会と柳模様
　１　柳模様の広がり
　２　柳模様の認知
　３　『疑問と注解』の世界
　４　『パンチ』『タイムズ』の柳模様

４章　柳模様の中国観
　１　柳模様へのまなざし
　２　柳模様の中国イメージ
　３　柳模様の中国観をめぐって
　４　近代イギリスの中国観と柳模様

５章　柳模様の現在
　１　20世紀後半の柳模様
　２　柳模様が消えた
　３　博物館のなかの柳模様

６章　日本における柳模様
　１　柳模様に対する認識
　２　日本製の柳模様

おわりに
あとがき
引用文献一覧
図版出典一覧