夫はバイリンガル失語症

日本語教師が綴る闘病と回復の五年間

夫はバイリンガル失語症
著者 ロコバント靖子
ジャンル 書籍 > 言語・言語学 > 言語障害・コミュニケーション
出版年月日 2013/07/10
ISBN 9784469213454
判型・ページ数 四六・290ページ
定価 1,980円(本体1,800円+税10%)

内容

「言葉を失う」とは何を意味するのか?

日本語堪能なドイツ人大学教授が脳梗塞で倒れ、失語症に。日本語教師の妻はリハビリを病院任せにせず、家庭での言語訓練を開始、症状とその回復過程を克明に記録した。症状を認識できない症状。ドイツ語と日本語の綱引き。壊れた言葉と壊れた心に振り回される家族の思いを語りつつ、脳と言葉を巡る様々な不思議を追う。

目次

はじめに
目次

第一章 [二〇〇五年]
 発症
 暗いドイツ語、明るい日本語
 何で「くじら」なのだ?――初めての言語リハビリ参観
 言葉の「壊れ方」を知る――言語リハビリ参観二回目
 リハビリ専門病院を探す
 家の混乱、ありがたい支え
 帰宅して
 リハビリテーション病院
 ドイツの治療か日本の治療か
 いつもと違うクリスマス
◆コラム ドイツの祭り――日本の祭り

第二章 [二〇〇六年]
 退職か休職か――診断書の語るもの
 一年間の休職決定
 退院、週二回の言語リハビリ
 家庭学習の試み
 不思議な症状
 関係性、総合的判断力、まとめ機能
 ドイツ語と日本語の綱引き
 こんな日もある
 職場訪問
 練習授業開始
 手書きの文とパソコンの文
 音読の楽しみ
 手紙を書く
 何がわからないのかわからない課題
 近頃の問題
 MRI検査
 揺れる脳
 最悪の事態
 大学復帰初日
 ゆく年くる年

第三章 [二〇〇七年]
 授業準備開始
 定冠詞、不定冠詞、否定冠詞
 文字、音、意味
 前置詞というのは…
 奇妙なドイツ語
 日本語の修復
 リハビリとは…
 再びゼロからの出発
 言葉の筋肉トレーニング
 何で今、また入院!
 妻の結論
 教壇に立つ者の責任
 鬱々とした日々
 家族の病
 わかってもらえない失語症の現実
 それぞれの夏休み
 大学という職場
 二学期始まる
 やせ細る二つの言葉
 言葉の文法、心の文法
 朗読の時間

第四章 [二〇〇八年]
 一つ山を越えた
 プラトーという時期
 脳の戦略
 何かおかしい
 何が起こった?
 心臓手術
 病の気づき

第五章 [二〇〇九年]
 退職までの日々
 失語症の薬はないのか
 新しい日常
 ただいま!
 後戻り

第六章 [二〇一〇年]
 高次脳機能障害
 文型文法
 失語症の受容

おわりに

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