深層文化 異文化理解の真の課題とは何か

原題:DEEP CULTURE The Hidden Challenges of Global Living

内容

異文化を学ぶプロセスで何が起きているのか

異文化の地の新たな環境で、人が経験する「文化を学ぶ」プロセスとはどのようなものか。異国の地では、地元の人ですら自覚せずに営んでいる、深層レベルの文化に適応する必要がある。異文化理解の先行研究との議論と、数多のインタビューで得た声の心理分析を通して、異文化の学びの新たな理論モデルを提唱する。

目次

日本語版への序

はじめに


第1部:異文化体験


第1章 地球村での異文化接触

 1.1 体験から学ぶ異文化滞在
 1.2 本書のねらい
 1.3 深層文化
1.3.1 深層文化と地球村
1.3.2 異文化の深い学びの回避
 1.4 異文化の学びについての視座

第2章 文化に対する異議

 2.1 「文化」とは
2.1.1 百花繚乱の定義づけ
2.1.2 エドワード・ホール:文化から異文化へ
 2.2 「文化」への異議
2.2.1 社会アイデンティティと意味を共有する共同体
2.2.2 文化は行動を引き起こすか
 2.3 文化を体験する

第3章 文化の深層構造

 3.1 文化の「規則」と文化の差異
3.1.1 解釈のための確かな枠組みとしての文化
3.1.2 文化差の深層構造
 3.2 深層文化の差異に関する研究
3.2.1 言語相対論
3.2.2 深層文化と認知プロセス
3.2.3 次元と領域
 3.3 価値志向の理解へ向けたアプローチ
3.3.1 ホフステードの価値志向
3.3.2 トロンペナースとハムデン=ターナーの「文化たまねぎ」モデル
3.3.3 規範、価値観、隠れた前提
 3.4 人間の普遍性と文化の生物学的基盤
3.4.1 文化プログラミングと個人の選択

第4章 深層文化と残念な結末

 4.1 悪化
4.1.1 隠れた文化と増幅する偏見
 4.2 「型(パターン)の認識」として異文化を学ぶ
 4.3 求められる変化への抵抗として異文化を学ぶ
4.3.1 深層文化の差異と絶対的判断
 4.4 傾注レベルと異文化への抵抗の深さ
 4.5 中立的に異文化を語る言葉
 4.6 否定的反応と異文化における成功

第5章 異文化を学ぶ目標

 5.1 異文化における成功の定義
5.1.1 異文化教育と異文化適応
5.1.2 異文化の気づきと異文化教育
5.1.3 言語教育における異文化能力
5.1.4 異文化適応研究
 5.2 異文化における成功の現象学的見解
5.2.1 建設的境界性
5.2.2 ベネットへの批判
5.2.3 異文化の学びと深層文化
 5.3 文化の深さをはかる対人関係
 5.4 言語学習と深層文化
 5.5 目標からプロセスへ

第6章 異文化学習プロセス

 6.1 深層文化を学んだ成果の違い
 6.2 カルチャー・ショックと文化の学び
6.2.1 カルチャー・ショックの構造
6.2.2 環境の手がかりと「ナビゲーションの課題」
6.2.3 コミュニケーションと「相互行為の課題」
6.2.4 異文化の学びから生起する「アイデンティティの課題」
 6.3 深層と表層レベルでの適応課題
6.3.1 抵抗、受容、そして適応
 6.4 ベネットの提唱した6段階の異文化感受性
6.4.1 自文化中心主義の段階
6.4.2 文化相対主義の段階
 6.5 異文化感受性発達モデル(DMIS)の妥当性
6.5.1 文化を超えての妥当性
6.5.2 DMIS と「混在状態」
6.5.3 異文化感受性と深層文化
 6.6 異文化の学びの図式化


第2部:文化学習の深層文化モデル


第7章 深層文化モデル

 7.1 異文化の学びについての深層文化モデル
7.1.1 異文化を学ぶプロセス
7.1.2 用語の定義
 7.2 異文化における成功と失敗
 7.3 深層における異文化体験が求めるもの
 7.4 異文化の学びにおいて不可避なもの
 7.5 文化の学びにおけるジレンマと志向性
 7.6 文化を学ぶプロセス

第8章 変化への抵抗

 8.1 抵抗
8.1.1 抵抗と反感
8.1.2 抵抗とラポール
8.1.3 反転
 8.2 表層抵抗
8.2.1 目に見える課題と象徴的な意義
 8.3 深層での抵抗

第9章 差異の受容

 9.1 受容
9.1.1 好感と受容
 9.2 表層受容
9.2.1 深層での抵抗を伴う表層受容
9.2.2 知的受容と深層受容
 9.3 深い受容
9.3.1 深い受容と言語学習
9.3.2 受容と適応

第10章 適応と異文化アイデンティティ

 10.1 適応
10.1.1 強制された適応
10.1.2 表層適応
10.1.3 深層と象徴
10.1.4 変化への明示的必要性と不安
 10.2 深い適応
10.2.1 内面的適応への必要性と言語学習
10.2.2 明示的/非明示的な規範と価値観
 10.3 文化的コード変換
10.3.1 深い適応とアイデンティティの揺らぎ
10.3.2 ラポールと文化的アイデンティティ

第11章 個人差

 11.1 個人差
 11.2 抵抗とラポール
 11.3 関係性と言語学習
 11.4 文化の距離

第12章 適応を超えて

 12.1 適応を超えて
 12.2 異文化における成功とは
 12.3 「カメレオン」
 12.4 アイデンティティの問題
12.4.1 2項対立的な異文化体験と三角測量

第13章 「地球村」が意味するもの

 13.1 何のために異文化を学ぶか
13.1.1 異文化体験を語る言葉
13.1.2 異文化体験用語の適用
 13.2 外面的/内面的文化と表層/深層異文化体験
 13.3 関係を作る、言語を学ぶ、異文化を学ぶ
 13.4 異文化教育の原理
 13.5 結論

<異文化体験>用語解説

本書に登場する異文化滞在者たち

訳者あとがき

参考文献

索引

ジャンル