フランス語のはなし もうひとつの国際共通語

原題:The Story of French

フランス語のはなし もうひとつの国際共通語
著者 立花英裕 監修
中尾ゆかり
ジャン=ブノワ・ナドー
ジュリー・バーロウ
ジャンル 書籍 > フランス語・フランス文学
出版年月日 2008/04/10
ISBN 9784469250763
判型・ページ数 四六・402ページ
定価 2,860円(本体2,600円+税10%)

内容

この1冊でフランコフォニー(フランス語圏諸国)の世界がわかる

カナダ首相出版賞受賞 国際社会のなかで、英語圏への対抗軸としてその動向が注目されているフランス語圏の現状をリポートするとともに、フランス語の誕生前夜の混沌とした状況から世界各地に拡大してきた今日の姿を、そしてその未来までをダイナミックに綴る。フランス語に関心をもつすべての人に贈る。

目次

まえがき


第1部 誕生と成立


 1.フランス語の祖先
ガリアの言語/ローマ人の占領と蛮族の侵入/ストラスブールの誓約/ラングドックとラングドイル/リンガフランカの誕生/イングランドのフランス語、アングロノルマン語/イングランド人とフランス語/フランス語の確立へ/ジャージー島のジェリ語/フランス語の進化

 2.国家を作ったことば
ヴィレール=コトレの勅令/文化政策の元祖フランソワ一世/ラブレーの自由奔放なフランス語/印刷術の出現/つづりの統一/プレイアド派の活躍/フランス語で書いたモンテーニュとデカルト

 3.「明晰であれ」という理想――アカデミー・フランセーズ
純粋主義の闘士マレルブ/根を下ろす純粋主義/アカデミー・フランセーズの産みの親リシュリュー枢機卿/アカデミー・フランセーズの誕生/アカデミー・フランセーズの仕事/アカデミーの辞書と一般の辞書/完成した辞書のできばえ/現代のアカデミー・フランセーズ/純粋主義の功績/純粋主義の落とし穴/世界に広がる言語アカデミー


第2部 世界各地への拡がり


 4.太陽王から遠く離れた地で
カリブ海の砂糖植民地/植民地から入ってきた言葉/クレオール語の誕生/北アフリカの植民地/罠猟師の活躍/新世界のフランス語/新世界の人口問題/海を渡ったユグノー/見捨てられたヌーヴェルフランス/大ルイジアナの譲渡/カナダで生き残ったフランス語

 5.王室とサロン文化を育んだことば
サロンの隆盛/フランス語の名声を高めた科学技術の進歩/啓蒙思想家の影響――ディドロ・ヴォルテール・モンテスキュー・ルソー/十八世紀のフランス語/ヨーロッパの外交用語に出世するフランス語/王侯貴族はフランス語がお好き/各国上流社会に流行するフランス語

 6.革命とフランス語
革命=帝政時代/革命政府の言語政策/フランス語の公共教育/フランス語が全国に普及したわけ/革命がフランス語に与えた影響/メートル法と革命暦の制定/革命思想とともに外国に伝わるフランス語

 7.国境を超えて――ハイチ、ベルギー、スイス
ハイチの独立/ハイチのフランス語/ベルギーの誕生/ベルギーの植民地コンゴ/ベルギーのフランス語/スイスの繁栄/スイスの国際的な活躍/スイスのフランス語

 8.「純粋な言語」へのこだわり
ギゾーとフェリーの教育改革/アカデミズムと辞書ブーム/誤りは罪/アカデミーのつづり改革/新語(ネオロジスム)は純粋主義の敵/地域語/ロマン主義の旗頭ユゴー/市民権を獲得する隠語

 9.帝国主義の道具となったフランス語
第二期植民地進出/アルジェリアの植民地化とフランス語/セネガル/西アフリカのフランス語教育/宣教師の活躍/インドシナの植民地とフランス語教育/レバノン

 10.取り残されたフランス語圏――カナダ、ルイジアナ
同化政策の犠牲者アカディア人/アカディア人の強力な帰属意識/ルイジアナに移住したアカディア人/フランス語を守る/頼もしいフランス系カナダ人/カトリック教会の影響/同化を食いとめる/フランス語いじめの政策/カナダのフランス語は異端か/古風なフランス語/英語使用の増加


第3部 世界に根を下ろすフランス語


 11.パリに花咲く先端の文化
花の都/フランス料理とレストラン/人権の言語/文学の都/バルビゾン派と印象派の画家/パリの都市計画/発明の世紀――自動車・飛行機・映画・科学/新しいフランス語/世界に名だたるフランスの技術――自由の女神像・メートル法・スエズ運河

 12.文化外交とアリアンス・フランセーズ
先輩格のアリアンス・イスラエリット・ユニヴェルセル/アリアンス・フランセーズの誕生/さまざまなフランス語教育機関/二度の大戦と文化外交/発展する文化外交/スイス、ベルギー、カナダの文化外交/イスラエルのフランス語教育/拡大するアリアンス・フランセーズ

 13.世界語からの転落と復活
戦争で弱体化したフランス/外交の舞台で割を食うフランス語/国連の公用語/言語と国家の結びつき/言語と地理文化の影響力/政治、科学、商業の世界で仕組まれた英語の国際語化/フランコフォンの反撃/情報化社会のフランス語

 14.フランス語を選んだ旧植民地
旧植民地の独立/植民地連合の失敗/セネガル大統領サンゴール/旧植民地のフランス語事情――アルジェリア・チュニジアとモロッコ・シリア・レバノン・ベトナム・カンボジア/フランス語人口と統計の謎/フランス語の地位を脅かす真犯人

 15.カナダでフランス語を守る人々
分離を目指すケベックのフランス系カナダ人/カナダの二言語政策/ケベック以外のフランス系カナダ人/ニューブランズウィックのアカディア人/同化したケイジャン/ルイジアナでフランス語を守る運動

 16.フランコフォニー国際機構OIF
フランコフォニー国際機構の誕生前夜/フランス本国とフランコフォニーの微妙な関係/加盟国の資格/明確な目的と政策/フランコフォニー国際機構の活動/加盟国の地位/複数言語主義と多言語主義/フランス語を守り、盛んにする取り組み/フランコフォンのそのほかの機関


第4部 変わる世界・変わることば


 17.変化するフランス語
発音の変化/文法の変化――絶滅寸前の単純過去・分詞の一致/新しい単語の登場/逆さ言葉ヴェルラン――英語の借用/フランス語は堕落しているのか/拡散する標準/純粋主義と現実尊重主語の対決/職業名の女性形/堕落説の根拠

 18.言語を保護する政策
フランス語にまつわる神話/ケベックの言語保護政策/フランス語憲章の制定/ケベックフランス語局の活躍/フランスの言語保護政策/フランス人と英語/フランス語の文化政策――映画・ラジオ/カナダとケベックの文化政策/文化特例と文化多様性条約

 19.フランス不在のフランコフォン同盟
手をつなぐフランコフォン/フランス人とフランコフォンの溝/フランス語の敗北を認める原因/意欲喪失のフランス人/フランス語をとるか、英語をとるか/フランス語を守るために/フランス語の巻き返し

 20.フランス語の未来
世界各地のフランス語の将来――フランス人の役割・ヨーロッパ・アメリカ・アフリカ・非フランコフォンの国/世界語を守るために


監修者あとがき
訳者あとがき

付録
組織名(略号)一覧
索引

ジャンル