内容
悪魔とともに1千年
悪魔の誕生から現代のホラー映画まで、1千年にわたって西欧人の心の闇にとりついた強迫観念の意味を明らかにする。悪魔の「発明」こそが、宗教・文化・社会を貫く力学的原理として近代ヨーロッパの絶えざる発展の原動力となった、とする独自な視点から西洋の総合的な文化史を展開する。
目次
序 章 悪魔との一千年
第一章 サタンの登場(十二 ― 十五世紀)
サタンと、原初の闘いという神話
良き悪魔ないしは悪しき悪魔
恐怖心を煽る――中世末期に於ける悪魔という脅迫観念
悪魔と獣
第二章 サバトの夜
異端への道
ヴァルドー派から魔女へ
魔女たちを打ち砕くための鉄槌
サタン的なる裸体
悪魔への熱狂の高まり
悪魔の印
第三章 肉体の悪魔
魔術的身体
女性の身体
怪物と驚異
性という地獄
感覚(五感)の歴史を目指して――視覚の優位へ
感覚の歴史を目指して――嗅覚の悪魔化
第四章 サタンの文学と悲劇の文化(1550―1650)
自己への恐怖
プロテスタント圏のドイツに見る悪魔関連の書籍
フランスに於ける悲劇的文化
ロセ、デーモン、そして腐乱死体
ジャン=ピエール・カミュあるいは恐怖のスペクタクル
血みどろの瓦版――三面記事の中の悪魔
バロックと違反
第五章 黄昏の悪魔――古典主義からロマン派へ
サタンの華麗なるフィナーレ
悪魔を巡る想像界の断片化
魔力を失った悪魔
象徴的な移行――サタンからメフィストフェレスへ
フィクションの息吹
恋するベルゼブル
第六章 内なるデーモン(十九 ― 二十世紀)
教義上の永遠性
悪魔との戯れ――暗黒小説と熱狂文学
悪魔主義者たちの反逆の天使
悪魔の子供たち
悪魔的な無意識
「闇を飼い慣らす」
紙上の悪魔
第七章 快楽あるいは恐怖――二十世紀末のデーモン
悪魔はまだいるのか?慎重なる悪魔払い
「悪魔の如く良し」――コマーシャル、ビールと漫画
表現主義のデーモン――『ゴーレム』から『怒りの日』まで
暗黒のスクリーン――ホラー、サスペンス、そして異常
アメリカのデーモン
結 論 デーモンとのダンス
訳者あとがき
原注
主要参考文献(欧文文献/邦語文献)
Quelques bandes dessinees(悪魔関連漫画)
Le diable a bonne presse(悪魔関連記事)
悪魔に纒わる映画、ホラー映画、暗黒映画(フィルム・ノワール)のリスト
索引