音調のタイポロジー

音調のタイポロジー
著者 早田輝洋
ジャンル 書籍 > 言語・言語学 > 各論
出版年月日 1999/02/01
ISBN 9784469212280
判型・ページ数 A5・360ページ
定価 5,280円(本体4,800円+税10%)

内容

言語のもつ音調の本質を明らかにする

アクセント、トーン(声調)、イントネーション……どの言語も何らかの形で持っている「音調」とは何なのか。日本語諸方言に加え、朝鮮語、中国語など東アジア諸言語の共時的な音調体系をも探る中で、日本語にも「語音調」方言があることなど、類型論的な広い視点からの研究成果を明らかにする。語構成や文構造と音調の関係など、ヒトの言語のもつ音調の本質を明らかにし、日本語アクセントについても、新たな光を当てる好著。

目次

第1章 音調とは何か

 はじめに
  1 「音節」と「モーラ」
  2 「アクセント」と「トーン(声調)」
  3 「ピッチアクセント」と「ストレスアクセント」
  4 「数える単位」と「狙う単位」
  5 「イントネーション」

第2章 音調の類型と比較

 1節 東アジアにおける九州方言
  1 九州の中の世界と世界の中の九州
  2 方言とは何か
  3 言語・方言の比較対照
  4 なぜアクセントか
  5 アクセントの特徴
  6 位置のアクセントと種類のアクセントが共存する方言
  7 ストレスアクセントとピッチアクセント
  8 日本における九州方言の位置
  9 世界における九州方言の位置
  10 言語・方言の類似性の原因

 2節 日本語と日本語周辺諸言語の音調システム
    ――特に複合名詞におけるアクセントと声調について
  1 複合語アクセントと変調
  2 日本語
  3 朝鮮語 晋州方言(慶尚南道)
  4 漢語
  5 アルタイ諸語
  6 中国大陸の漢語・アルタイ諸語以外の言語
  7 複合語における狭義のアクセント
    ――朝鮮語のアクセント方言
  8 まとめ

 3節 語声調方言
    ――佐柳島と真鍋島のアクセント
  1 佐柳島のアクセント体系
  2 真鍋島のアクセント体系
  3 語声調言語とアクセントの位置

 4節 朝鮮語晋州方言のアクセント体系
  1 晋州方言のアクセント型
  2 名詞のピッチ型
  3 四つの声調を持つ語声調方言

 5節 朝鮮語慶尚道方言の長母音について
  1 序論
  2 2種類の長母音
  3 結論

 6節 朝鮮語諸方言アクセントの系譜再構の試み
  1 資料
  2 各方言アクセントの音韻論的解釈
  3 系譜の再構

 7節 朝鮮語のアクセント:共時的及び通時的研究
  1 朝鮮語アクセントに対するこれまでの解釈
  2 金海方言
  3 中期朝鮮語
  4 昌原・大邱・霊山・ソウル方言
  5 歴史的変化

第3章 アクセントの基底表示と担い手

 1節 書評 金田一春彦
    『国語アクセントと史的研究――原理と方法』
  1 日本語はトーン言語か
  2 拍と音節について

 2節 アクセントの解釈をめぐって
    ――金田一春彦氏へのお答えの一端として
  1 平安時代の日本語
  2 現代日本語
  3 朝鮮語
  4 拍と音節

 3節 アクセント分布に見る日本語の古層
  1 方言が持つアクセントの特徴
  2 数える単位
  3 アクセントの担い手
  4 アクセントの「位置」が「種類」か

 4節 東京方言におけるアクセントの担い手と複合の熟合度
  1 音節がアクセントを担う
  2 モーラがアクセントを担う
  3 辞書内(1語)と辞書外(2語)
  4 単語連続と複合語
  5 まとめ

 5節 アクセントについての若干の覚書き

  1 古典ラテン語のモーラは言語的単位であるか否か
  2 関西方言等における「テー」《手》のような形は2モーラ
  3 東京方言のアクセントの担い手はモーラが中心か音節
  4 東京方言において「ゲンジモノガタリ」《源氏物語》は複合語
  5 現代朝鮮語晋州方言のアクセント体系は、単語声調
  6 金次均氏の挙げる朝鮮語昌原方言のA+B型の単語の連続

 6節 アクセントの単位
    ――特にその担い手について
  1 アクセントの単位とは何か
  2 佐柳島、真鍋島のアクセント
  3 伊吹島方言

第4章 アクセントとイントネーション

 1節 「アクセント」早わかり
  1 アクセントとは何か
  2 ピッチとストレスの違い
  3 声調(トーン)とアクセントの違い
  4 アクセントの分類

 2節 東京アクセントのピッチ曲線
  1 はじめに
  2 「平板型」と「起伏型」
  3 語頭の「低」
  4 言語的情報とピッチ曲線との関係

 3節 単語のアクセントと文のアクセント
  1 英語・ドイツ語のアクセント
  2 日本語のアクセント
  3 文音調
  4 強勢
  5 構造の曖昧性など

 4節 文における声の高さの型について
  1 序
  2 周期前適用規則
  3 周期適用規則
  4 周期後適用規則
  5 「低いはじまり」について
  6 まとめ――構文構造と音形構造

 5節 東京方言の文末のアクセントとイントネーション
  1 アクセントとイントネーション
  2 アクセント
  3 イントネーション
  4 最後に
  5 文末における形態素の組合せの例

ジャンル