内容
ウィトゲンシュタインは、ガンの苦痛に耐えながらも、死の二日前まで思索のペンを止めることがなかった。「知る」という語の本当の意味は何か、知識とは何か――「確実性の問題」は、この根本問題をあらゆる角度から徹底的に追及し、文字通り絶筆となった彼の苦闘の記録である。また、「断片」と題してまとめられた文章は、後期の代表作『哲学探究』第二部とほぼ同時期のもので、晩年の熟成した思想をしめす重要な遺稿である。「言語ゲーム」や「生の形式」など、ひろく知られた後期の基本概念を理解するための必読の作品である。